大映画会社ではないが、インスタントメジャーとして60年代末から70年代前半にシネラマ専門で名を馳せたCRCが配給してヒットした「ねずみ強盗・殺人事件」映画。

監督は「バターフィールド8」のダニエル・マン。主役は「いちご白書」のブルース・デイヴィソンソンドラ・ロック(クリント・イーストウッドの元愛人)。共演はアーネスト・ボーグナイン

 

あらすじ

 

ウィラードは27歳の中堅社員だが、仕事ができないタイプで会社での評判は悪い。家では母親に隠れてネズミを白いソクラテスや黒いベンを筆頭に何匹も買っている。
アル社長はウィラードの父とこの会社を興し、父亡き後、アルとアルの母に手を焼いていた。そこで美人秘書ジョーンを付けて、やる気にさせようとした。ところがアルは彼女と仲良くなるが、一向に仕事は捗らない。そんなときたった一人の母が亡くなる。そこへ母の税金の督促状がやってくる。母は父の死後気が変になっていたが、莫大な借金を抱え込んでいたらしい。会社の取引先に現金があると知ったウィラードはネズミたちを連れて忍び込み、家人がネズミの大発生でパニックを起こしている隙に金銭を盗み出した。
パーティーをネズミに失敗させられたといって社長は気に入らなかった。そしてジョーンを懐柔しようとして、失敗したため、二人まとめて予告解雇する。さらに社内の資料室に匿っていたソクラテスが社長に発見され殺される。これに怒ったウィラードは、夜残業してる社長をネズミに襲わせて殺してしまう。そして証拠隠滅のためネズミたちを水に漬けて皆殺しにする。
翌日何食わぬ顔でジョーンとデートするウィラード。そこへ現れた黒ネズミのベン。地下室へ通ずる階段を明けるとそこにもネズミがまた増えている。ひとまずジョーンを返して、ベンとの最終決戦に挑む。

雑感

 

昔、テレビで見たときの映像を思い出した。このカットされていたテレビ映像と比べて、映画の実際のテンポが悪いと思っている人がネットに多いようだ。

しかしこの展開で一時間半の映画だったら、とくに問題は感じなかった。前半少しぐらい緩いとしても、登場人物の役割を理解できるし、後半の短い時間の緊張感が生きてくる。逆に後半を引き延ばすと、エンディングを待たないで答が分かってしまう。

主人公は愚図でのろまであるだけでなく、サイコパスなのだが、意外にも恋人ジョーンに優しく、ラストのベンとの対決で彼女を先に逃がしてくれる。ソクラテスとジョーンにだけは愛情を持っていたが、それ以外のねずみは芸を覚える道具としか考えていなかったのだろう。

 

 

 

スタッフ・キャスト

 

監督 ダニエル・マン (「バターフィールド8」)
脚本 ギルバート・ラルストン
製作 チャールズ・A・プラット、モート・ブリスキン
音楽 アレックス・ノース
撮影 ロバート・B・ハウザー

 

配役

ウイラード : ブルース・デイヴィソン
ジョーン: ソンドラ・ロック
ヘンリエッタ: エルザ・ランチェスター
アル: アーネスト・ボーグナイン

 

 

ウィラード Willard 1971 シネラマ・リリーシング全米配給 松竹映配(現松竹富士)国内配給

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