恐怖映画エドガー・アラン・ポーの原作小説をエリック・ロメールが脚本化し監督を務めた自主制作映画だ。
偏執狂の男が眠り病に侵された従妹の白い歯に魅せられる姿を描く。
主役はエリック・ロメール自身が演じ、相手役はテレーサ・グラチア
22分の白黒映画である。

雑感

30代のエリック・ロメールが日常的な「もの」を凝視したりする偏執狂の男を演じるが、台詞はなくその狂気をナレーションだけで静かに描き出している。
ただし、原作小説と比べて背筋の凍るような怖さはない。恐らく、エリック・ロメールは「自分がホラーに不向きだ」と感じたことだろう。
病気は、たまに日本でも見られるナルコレプシーではなく、アフリカの蚊による感染症の過眠症であるようだ。

キャスト

エギュス  エリック・ロメール
ベレニス  テレーザ・グラチア

スタッフ

監督・脚本  エリック・ロメール
製作  ピエール・コトレル
原作  エドガー・アラン・ポー
撮影  ネストール・アルメンドロス

 

ストーリー

偏執狂であるエギュスは、元気な従妹ベレニスとお屋敷で共に育った。ベレニスは根暗なエギュスに昔から好意を持っていた。
青年へと成長したエギュスは、仕事もせずに自分の殻に閉じこもっている。
ある日、ベレニスが眠り病の発作を起こす。エギュスは、次第に衰えていくベレニスを哀れに思い、求婚する。ベレニスは、喜んで承諾する・・・。

エギュスはベレニス自身ではなく、ベレニスの白い歯に魅せられていた。ある日、ベレニスは急な発作で亡くなる。エギュスも悲しんで、我を忘れるほど寝入ってしまう。
ようやく目覚めたエギュスは、体が血で汚れていることに気付く。召使いが、「ベレニスの墓が荒らされて遺体が掘り出された」と言う。エギュスの手には、ベレニスのすべての歯が握られていた。

 

 

 

ベレニス Berenice 1954 ピエール・コトレル製作 – エリック・ロメール監督の怪奇映画

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