(⭐︎)恋愛映画。ヌーヴェルバーグ作品
エリック・ロメール監督が撮った連作「六つの教訓物語」第4話でバカンスもの。第三作の主演ジャン・ルイ・トランタニャンのスケジュールが詰まっていたので、第四作の方が先に公開された。
リゾート地でアドリアンとダニエルは、アイデを挟んで三角関係になる。アイデとの関係が拗れたため、ダニエルは別荘を出ていく。しかし、彼らの前に裕福な中年男性サムが現れる・・・。
エリック・ロメールは、この作品でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した。

主演はパトリック・ボーショウ。
共演はアイデ・ポリトフ、ダニエル・ポムルール。

雑感

「六つの教訓話」は三角関係を主題にしている物語をシリーズにしているものが多いが、これもその一つ。スレンダーな娘アイデは、付き合う男性をコレクションするかのように毎夜、取り替える。やがて、彼女に主人公アドリアン、ダニエルらは翻弄されていく。

エリック・ロメールの作品では、主人公が男性の場合、女性の気持ちについて勘違いすることが多い。アドリアンも妄想癖や自信過剰の気があり、アイデが自分を誘っていると思い込んでいる。しかし、最後まで彼女との肉体関係はなかった。

ロメール監督が胸フェチでなく足フェチであることは有名だ。自分は胸に大して興味がなく、同好の士だと思っている。この映画でもプロローグ1からヒロインのアイデの足がしっかりと強調される。

冒頭にだけ登場するアドリアンの恋人役を演ずるミジャヌーは、ブリジット・バルドーの実の妹であり、アドリアン役でベルギー人俳優であるパトリック・ボーショウの実生活での妻でもある。

オールロケで、南仏のコートアジュールとサントロペで行われた。

キャスト

パトリック・ボーショウ  アドリアン
アイデ・ポリトフ  アイデ
ダニエル・ポムルール  ダニエル
ミジャヌー・バルドー  アドリアンの恋人キャロル
アニック・モリス  キャロルの友人
セイムア・ヘルズブール  アドリアンの出資者サム

 

スタッフ

監督、脚本  エリック・ロメール
音楽  ブロッサム・トーズ
編集  ジャクリーヌ・レナル
撮影  ネストール・アルメンドロス

 

ストーリー

恋人キャロルと喧嘩別れしたアドリアンは、開業する画廊への出資を募るため、美術収集家サムに会いに南仏へ出かける。
宿泊場所は、知人ロドルフの別荘だった。収集家サムと会うまでは、その別荘で静かで規則正しい時間を過ごすつもりだった。友人の画家ダニエルも合流する。その後、別荘に現れたのはロドルフとセックスしてるところで目を合わせてしまった娘アイデだった。彼女はロドルフがいないことをいいことに、男を引っ張り込んだり泊まりに行ったりと忙しい。
アドリアンは、静かに過ごすのが目的だったが、次第にアイデのことが気になる。ついには、アイデは俺を誘っていると妄想が膨らみ出した。
運の悪いことにダニエルも同じ考えだった。ダニエルは、アドリアンより上手くアイデを口説いて落としてしまう・・・。

しかし、ダニエルは多情な彼女への嫉妬心から別荘を去る。アドリアンも、裕福なサムに会いに行かなければならない。そこで彼女を餌にして、サムに出資してもらおうと考える。ところが、彼女はアドリアンが売りつけた宋の時代の陶器を壊してしまう。サムは怒って、出資の話はお流れになった。

それでもアドリアンは、残りの休暇期間をアイデと2人で過ごせるなら構わないと思っていた。ところが、アイデは街で会った若者たちに引っ掛けられてしまう。アドリアンは、呆れてしまい彼女を放置して1人で別荘に戻る。そして、キャロルのいるロンドン行きの飛行機の便を予約する。

 

コレクションする女 La Collectionneuse 1966 ロサンジュ製作 – エリック・ロメール監督の「六つの教訓話」第四弾

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