映画化され大ヒットしたイアン・フレミング原作「007」シリーズの翻訳家である都筑道夫が原案を書き映画監督の岡本喜八が映画らしく洗練したものとして、福田純が監督した低予算スパイアクション映画
カラー映画で、撮影は宇野晋作
主演は宝田明。ヒロインは浜美枝である。共演は有島一郎、平田昭彦ら。


雑感

世界的な007ブームの中で製作されたコメディタッチのアクション映画だ。
1964年東京オリンピック以来航空機の国際路線が自由化されたと言え、かなりの低予算映画だった。さらにヤクザの抗争絡みの拳銃密輸事件だから、007の国際的陰謀ほどのゴージャス感は少ない。脚本の推理作家都筑道夫らしい、殺人鬼の変わった凶器が登場するが、これも本物の007の秘密兵器と比べるとダサい。
なお、数多く積み上げられた空のドラム缶に煙草の火を放り込むと連鎖爆発するシーンがある。これは、ドラム缶にガソリンが僅かに残っているからである。戦時中の日本兵は、空のドラム缶で五右衛門風呂を作ろうとして、しばしばそういう失敗をしたそうだ。

この映画の見所は、浜美枝の日本人離れしたナイスバディだ。おかげで、彼女は1967年に公開された007シリーズ第五作「007は二度死ぬ」で若林映子(あきこ)と共にボンドガールに起用された。

 

キャスト

アンドリュー星野:宝田明
沢田ユミ:浜美枝
手塚部長刑事:有島一郎
香港マフィア黄昌齢:多々良純
殺し屋小森:平田昭彦
赤月譲介組長:堺左千夫
サングラスの男:黒部進
赤月組子分松木:伊吹徹
赤月組子分健:当銀長太郎
青沼武組長:草川直也
赤月組子分:岩本弘司
玉井警部:石田茂樹
アジア系フランス人のダンサー:殿岡ハツエ
ユベール・ルボワ:マイク・ダニーン

 


スタッフ

監督 福田純
脚本 都筑道夫、岡本喜八、福田純
製作 田中友幸、角田健一郎
音楽 佐藤勝
主題歌 布施明「100発100中」
撮影 宇野晋作

 

あらすじ

二人の日本人が搭乗した飛行機がフランス・パリ空港から発った。その内、一人の男は香港で暗殺される。もう一人の男はアンドリュー星野と名乗り、香港から日本に向かったマフィア黄を追った。羽田空港で、来日したダンサーの荷物が爆発する騒ぎが起きて、その隙に黄は税関を通らず入国した。星野は追跡したが、逃げられる。黄を逃がした美女ユミは、超音波信号でプラスチック爆弾を作動できる殺し屋だ。
黄は赤月組のために100丁の拳銃を香港から密輸するために日本に来た。星野は、ユミに眠らされて赤月組のアジトに幽閉される。
インターポールの星野刑事が来日したとパリから連絡を受け、警視庁刑事の手塚が応援のため赤月組に乗り込むが、手塚も囚われの身になる。赤月組は星野と手塚をユミに殺させるつもりだったが、ユミは星野に参ってしまい手塚と共に逃がす。実は、赤月組が契約した報酬をケチったのだ。

黄は、赤月組の抗争相手である青沼興業と通じていた.青沼から黃は、星野がスイスの密輸組織から送り込まれた殺し屋であり、黄のボスであるルボアを狙っていると教えられる。青沼興業の殺し屋小森は、得意の硫酸で星野を始末しようとするが、とんだ人違いを犯してしまった・・・。

赤月組が静岡沖で100丁の銃を荷揚げする際、青沼興業が乗り込み赤月組を皆殺しにしようとする。ところが、赤月組長だけ生き残り、憎い青沼社長を誘い出して暗殺する。そこに乗り込んだ星野ら一行は、赤月と戦いになり、ユミの一撃で赤月を倒すが黄には逃げられてしまう。

星野と手塚は、ルボワの正体が芸能マネージャーであることを知り、マニラ市警の協力を仰いで逃亡先と目されるフィリピンで捜査を開始した。しかし、ルボアの手下により星野らは捕えられ、ケソン島のジャングルにあるルボワの武器工場に連行される。星野と手塚は監禁されるが、ユミの爆弾によって救出される。ところが、ルボアの手下のなった小森に捕まり、処刑寸前となる。死刑執行前に星野は煙草を所望した。その火を近くのドラム缶に放り込むと大爆発が起きる。そして星野の銃弾はルボアを倒した。
やがて、ケソン島からボートで海上に脱出しようとする星野をユミは水上スキーで追い掛ける。

100発100中 1965.12 東宝東京製作 東宝配給 宝田明のスパイ・アクション

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