(☆)舟橋和郎が脚本を執筆し、田中重雄が監督した恋愛喜劇
カラー映画で、撮影は高橋通夫
主演は若尾文子、共演は宇津井健、川崎敬三、浜田ゆう子、東野英治郎

雑感

若尾文子産業スパイ風ラブコメ。当時の彼女には年齢的にも適齢期の女性の方が似合っていた。
光学メーカー滝川産業の新製品は「ユミカ8」と言うが、当時は扇千景が「私でも写せます」とコマーシャルしていた小西六の女性向けカメラ「コニカシングル8」が大ヒットした時代だった。

産業スパイ役の宇津井健は、結果的に若尾文子と結ばれるのだが、出演者クレジットは第4位に留まる。宇津井健は、空気を読めない無骨なキャラクターを演ずることが多かったが、それにしても新東宝出身俳優は大映で冷遇されていた。
彼は、テレビに活路を求めて「ザ・ガードマン」で主演として大ヒットを飛ばし、山口百恵「赤いシリーズ」でも好演して大映テレビドラマの基礎を作った。彼と彼の生んだ新東宝映画なくして、1965年代以降の大映テレビドラマは語れない。

 

キャスト

若尾文子  滝川由美
村田知栄子  祖母滝川しづ
宇津井健   演劇青年の村瀬力
川崎敬三  志野村次郎(見合い相手)
浜田ゆう子  杉本早苗(探偵)
東野英治郎  津田数右衛門(秘書)
角梨枝子  踊りの師匠春影菊(津田と出来ている)
北原義郎  志野村一郎(次郎の兄)
町田博子  志野村春子
沖良子  志野村留子
春本富士夫  斎藤常務
夏木章  関口技術部長
渋沢詩子  若い女中キミ子
左卜全  交通課係員
早川雄三  白バイの警官

 

スタッフ

企画  原田光夫
脚本  舟橋和郎
監督  田中重雄
撮影  高橋通夫
音楽  北村和夫
主題歌  朝丘雪路

ストーリー

カメラメーカー滝川光学の社長滝川由美は、八月生れで気が強い。そろそろ適齢期なのだが、結婚はしないと強がっている。
由美が得意げにスポーツカーに乗っていると、急にバックしたシトロエンにぶつけられた。当事者である村瀬力は、警察に物損事故を訴えた。由美と力は事故について直接話し合うが、何故か力は由美のことをよく知っていた。由美も友達の探偵早苗に力の身許調査を依頼する。
由美は、両親を亡くし祖母しづとの二人暮らし。おじいさんと呼ばれる津田数右衛門が、秘書として支えていた。
津田は、由美と四国のデパート王の弟との見合をさせようと考えた。そこで取引先拡大のチャンスと偽って、由美と高松に行く。そこで、見合い相手である志野村次郎と会わせることに成功するが、謀られたと知った由美は怒って東京へ帰ってしまう・・・。
ところが、次郎は田舎でのデパート業が嫌になって上京してきた。由美の祖母が次郎を気に入り、滝川家で居候させることになった。
ついに早苗が力の身元を突き止める。売れない俳優である力は、滝川化学のライバル会社村瀬光学の社長令息だった。力は、劇団を立ち上げるため父から百万円借りる見返りに滝川光学の新製品をスパイするため由美に近付いたのだ。
由美は力を気に入っていたから、裏切られたと思い込みヤケになり、次郎と結婚すると宣言する。彼女は、力と婚約者次郎と会わせ、力に彼女と愛情関係がないと誓ってくれと頼む。しかし、彼女を愛していまった力は次郎の前で、父親と縁を切っても彼女を愛し抜く覚悟を述べた。彼女は喜びに涙して、次郎は身を引いた。
半年後、由美のかわりに社長室に夫になった力が社長代理として居心地悪そうに座っていた。由美のお腹には愛の結晶が生まれたので、彼女は産休を取っていたのだ。

 

8月生れの女 1963.2 大映東京製作 大映配給 若尾文子主演ラブコメ

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