最近フランソワーズ・アルヌールのシリーズを続けてきたが、手持ちの弾も尽きてきた。フランソワーズ・アルヌールと言えば、石森章太郎「サイボーグ009」の紅一点003のモデルだ。ではタツノコプロ「ヤッターマン」の悪役ドロンジョ様のモデルと言えば、フランス女優で親日派のミレーヌ・ドモンジョである。と言うわけでドモンジョ様シリーズの始める。

ドモンジョ様は1957年、アンリ・ヴェルヌイユが監督した英国推理小説のフィルム・ノワール「女は一回勝負する」でヒロイン(共演アンリ・ヴィダル)に昇格する。その翌年、サガンの処女作「悲しみよこんにちは」でデビッド・ニヴンの愛人役でハリウッド・デビュー。
その直後、フランスで撮った作品がマルク・アレグレ監督によるラブ・サスペンス「黙って抱いて」(共演アンリ・ヴィダル)。内容はドモンジョ様が下美しく撮っただけの映画で、当時日本国内上映は見合わされたのだが、この映画に女性向け付加価値がついてきて1963年になってから新外映が配給した。それはアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドが初共演していたことである。(ドモンジョ様とドロンは1959年「お嬢さん、お手やわらかに」で二度目の共演)

 

あらすじ

当時、カール大帝と名乗る宝石強盗が現れ、パリの宝石店を荒らしていた。一方、ベビーギャングの一人として補導されたヴィルジニだが、ジャン刑事が一目惚れしてしまう。ヴィルジニは困惑するが、幸せな家庭にあこがれていたので、結婚を承諾する。
ベビーギャングたち(ルル、ピエロ、オルガ、プリュダンス)は、写真屋にカメラの密輸の運び屋をさせられる。その輸送中にヴィルジニの結婚式に呼ばれるが、肝心なカメラを忘れてしまう。そのカメラは警察の手に。
実は密輸品の中にカール大帝が盗んだ宝石が隠されていた。カール大帝は宝石を再び手に入れるため、オルガを誘拐しヴィルジニに警察からカメラを盗ませるが、宝石は偽物だった。警察が先に発見していたのだ。
そしてジャンはルルを伏兵に隠して、カール大帝の一味と対決する。

雑感

この映画の時点でフランスでは既にアラン・ドロンジャン・ポール・ベルモンドより格上扱いだった。ドロンもJPも翌年には主演作を得て、大スターになってしまう。だから、この作品は当時のお宝映像だったのだろう。

アルク・アレグレは1961年のオムニバス映画「パリジェンヌ」で第四話「ソフィー」(主演カトリーヌ・ドヌーブ、共演ジョニー・アリディ)を監督している。ジョニー・アリディは歌手だし、どちらも若くて下手なんだけど、それを監督がよく演出していた。
その三年前のこの作品は、ヴィダルとドモンジョ様の組合せだけでは前々作「女は一回勝負する」と全く変わらないので、不良グループとしてドロン、JPら不良四人組を脚本に追加したのだと思う。夫婦の話と不良グループの話が交互に出てくる。不良グループの中でドロンは目立ち過ぎていてJPとの調和が取れていなかった。

でもドモンジョ様の半裸を見られただけでも眼福である。
 

スタッフ・キャスト

監督・製作 マルク・アレグレ
原案 マルク・アレグレ 、 ウィリアム・ベンジャミン
脚色 マルク・アレグレ 、 オデット・ジョアイユー 、 ガブリエル・アルー 、 ジャン・マルサン 、 ロジェ・ヴァディム
台詞 ジャン・マルサン
撮影 アルマン・ティラール
音楽 ジャン・ヴィーネ

配役
ジャン   アンリ・ヴィダル
ヴィルジニ ミレーヌ・ドモンジョ
リュル   アラン・ドロン
ピエロ   ジャン・ポール・ベルモンド
オルガ   ベアトリス・アルタリバ
プリュダンス アンヌ・コレット
ジョローム  ダリー・カウル

黙って抱いて Sois Belle et Tais-toi 1958 フランス映画 新外映配給 ドロン・JP初共演作

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