一週前追切りと直前追切りの動きを見ていると、ダノンプレミアムは自分で気を回して1Fだけ本気を出したが、仕上がっている。後はレース勘が戻っているかだけ。意外だったのは、一週前にキタノコマンドールが併せ馬で遅れていた。こういう馬なのかも知れないが、軸馬には出来ないと思う。ゴーフォザサミットは直前まで併せ馬で急仕上げな様子。コズミックフォースオウケンムーンに先着した。ブラストワンピースは3Fだけ追った。あまり良い感じはしない。エポカドーロは疲れを残さず良い雰囲気だ。ステルヴィオは併せ馬だが、急仕上げ臭い。ワグネリアンは直前を坂路に戻して馬なり。

 

ダービーは、原則として内枠有利なレース。内枠から順番に見ていこう。

ダノンプレミアムは大本命だが、緩急のつくレースは苦手だろう。どれだけマイペースで走れるか。キタノコマンドールは勝ったら池江師がコマネチをやると言っていたから消し。オーケンムーンも消し。ゴーフォザサミット、ブラストワンピース、ステルヴィオは過程に難がありそうなので押さえまで。エポカドーロとワグネリアンは体調が戻っているようなので枠順的に対抗、単穴かな。超ハイペース、超スローペースもある。ボックスが正解。

 

前の青嵐賞、むらさき賞で共に好時計の差し追い込みが決まったが、これはフラグの予感がする。

パドックでは、ダノンプレミアムはいつも以上に気合いが入っている。レース間隔が空いたせいもある。さてどちらに出るか。

ゴーフォザサミットは落ち着いている。全体的にテンションの高めの馬たちの中に入って、気合い抜けしているようにも見える。ブラストワンピースは気合い十分だが、10キロ増だ。エポカドーロは小足を使っている。エタリオウワグネリアンまで小足を使っている。ステイゴールド系(オルフェーブル含む)は我慢出来ず前に行きそうだ。とくにエタリオウは競られてハイペースの逃げを打つかも知れない。

ここでポイントは外枠の馬が勝負を賭けてメイチの仕上げをしていると言うことだ。スタートで仕掛けるために気合いを付けているのであって、もしかしたら出遅れるかも知れない。

安定性という意味では最内に入ったダノンプレミアムが一番と考えた。(この考え方が守りに入っていた)

そしてレースは始まった。何とブラストワンピースエタリオウが出遅れてしまった。
エポカドーロはノシを付けて先頭に立つ。ジェネラレウーノが掛かって二番手。三番手の内にダノンプレミアムが虎視眈々。四番手にコズミックフォース、五番手に早めに動いたワグネリアン、その内の6番手にブラストワンピースが追い上げてきた。

最近のダービーでは珍しく、有力馬がダービーポジション(1角6番手以内)を主張する展開となった。それだけ以前のように追い込みが難しい馬場なのか。

 

結果はご覧の通り。

展開としては残り4Fまでスローで辛抱の競馬になり、そこからヨーイドン。残り400でエポカドーロ、コズミックフォースが先頭、二番手を行き、ダノンプレミアムが中を割ろうとするが、エポカドーロとコズミックフォースが譲らず、外にいたワグネリアンが内にわずかに寄ったために行き場所がなくなってしまう。
そこからさらにエンジンが掛かったのがワグネリアンである。実際ラスト1Fで先行勢の脚がわずかに鈍ったのだ。ゴール前のエポカドーロと叩き合いを制し、見事ダービー馬の称号を得た。勝ち時計は2分23秒6、上り34秒3。
8Rの同じ2400mの青嵐賞(古馬1000万下)が前半5F59秒6、勝ち時計2分29秒9と共にダービーを上回っている。直線勝負になったことが分かるだろう。

二着はエポカドーロ、三着はプリンシパルSの勝ち馬ながら16番人気のコズミックフォース、4着は追い込んだエタリオウ、5着はブラストワンピース。

 

福永祐一も19回目にして嬉しい初勝利。名人と呼ばれた父の福永洋一もダービーを取っていないから、福永家初のダービー制覇となった。

馬主の金子真人は早稲田大学教育学部数学科卒の理系人。1976年に武藤工業から独立してCAD/CAMソフトの会社「図研」を興し、後に東証一部上場。ダービーはキングカメハメハ、ディープインパクト、マカヒキに続き、馬主最多の四勝目を挙げる。実はワグネリアンは金子が輸入した牝馬で名スプリンターのブロードアピールに先ずダービーで初優勝したキングカメハメハを付け、その娘に次のダービー馬ディープインパクトを付けて産ませた牡馬。まさにブラッドスポーツ、金子血統の勝利。

ワグネリアンの勝因は、

(1)今年三走目のダービーにピークを持ってきた。
(2)前走皐月賞を一番人気で負けたことが、思い切った騎乗を生んだ。
(3)スローペースで外枠の好位を取ることが出来た。
(4)先行馬がダノンプレミアムを抑えることに必死で外から来た5番人気ワグネリアンまで気が回らなかった。
(5)他の有力馬が順調さを欠き、調子を落としていた。

しかし馬体が小さいから、成長力は疑問。
アーモンドアイがもしダービーに出ていたら、中団外から一気に抜け出されていたかも知れない。秋からの牡牝混合戦は嫌だろうな。

ダノンプレミアムの敗因は、

(1)レース勘が戻っていなかった。
(2)ペースが合わなかった。弥生賞はスローで先行抜け出し勝ちをしたが、あのときは8枠だった。
(3)器用さに欠けていた。具体的には緩急の差に対応出来なかった。
(4)本質的マイラーかも知れない。
(5)人気を背負って、包まれた。しかもばらける展開にならなかった。

 

2着エポカドーロは思いの外、よく粘った。本当は前に馬を置きたかったのだが、超スローになって早めに後続に来られるのを嫌がって自ら先頭に立ってペースを作ったのだろう。

3着コズミックフォースは体調が良かった。プリンシパルSの方が勝たなければダービー出走権を失うレースで、しかも人気を背負って厳しい展開だった。

 

東京優駿(日本ダービー) 2018 ワグネリアン (東京競馬場・芝2400m)福永家の悲願達成!

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