(☆)長瀬喜伴・高岡尚平の共同脚本を、田中重雄が監督した人情映画カラー映画で、撮影も高橋通夫が担当した。
主演は若尾文子、共演は中村鴈治郎川口浩川崎敬三叶順子ジェリー藤尾

雑感

典型的な家庭喜劇だ。この頃の若尾文子は、メロドラマだけでなく、たまに喜劇にも出ていた。
他の男に惚れているが、恋破れて最後は○○○○と一緒になるパターン。
たしか「やっちゃ場の女」もこのパターンだ。
まあ、人情映画派の人が暇つぶしに見るのには良い作品だ。
ジェリー藤尾が重要な役で出演しているが,歌のシーンはない。

 

キャスト

若尾文子 – 直江まり子
二代目 中村鴈治郎 – 父鶴吉
瀬川雅人(子役) – 弟太郎
川口浩 – 白井五郎
川崎敬三 – 村田幸吉
叶順子 – みどり
ジェリー藤尾 – 三平
沢村貞子 – かめ
藤間紫 – はま
村田知栄子 – 梅子
八波むと志 – 不動産屋
早川雄三 – 生地屋の職員
中田勉 – 月賦屋
伊藤雄之助 – 社長(父の得意先)

 

スタッフ

監督 – 田中重雄
企画 – 原田光夫
脚本 – 長瀬喜伴、高岡尚平
撮影 – 高橋通夫
美術 – 後藤岱二郎
音楽 – 北村和夫

ストーリー

新橋の烏森神社裏にあるテーラー直江は、親方の鶴吉が頑固で弟子がいなくなって寂れている。借金取りが毎日押しかけて、土地が売りに出ると思い込んで不動産屋が下見に来る始末だ。

高校に上がる弟を抱えて、独身娘のまり子は父に任してられないと思う。彼女は、おにぎりが新橋のサラリーマンの間で流行っていることを知り、店を改造しておにぎり屋を始めた。資金はどこから融通したのか?鶴吉はやむを得ずテーラーの看板ごと二階に追いやられたが、内心では娘の甲斐性が嬉しいのだ。

江戸っ子のまり子の周りには、三人の独身男性がいる。まり子は、その中で新宿の劇場で演出をしている青年白井五郎に気がある。五郎はまり子と幼馴染みだった。村田幸吉は、以前鶴吉に破門にされたことがある弟子だ。しかし、今では大勢の職人を使って既製服メーカーの社長に出世した。おにぎり屋の資金をまり子に提供したのも彼だ。さらに麻雀荘を経営するはまの息子三平は、毎日ブラブラしているが、実はまり子を敬愛している。まり子がおにぎり屋をはじめると、自ら板前に立候補した・・・。

まり子の叔母かめや、五郎の母梅子が彼女に縁談を持ち込む。しかし、五郎はすぐに結婚する気はないとつれない。五郎の劇場の踊り子にみどりという娘がいた。それがまり子と腹ちがいの妹だったのだ。頭を下げる父親鶴吉を、まり子は許してやった。
しかし、五郎からみどりと婚約したと聞き、まり子は悲しむ。折しも幸吉の誕生日で彼女は、泣きじゃくる。家に帰っても鶴吉や三平の前でよって醜態をさらす。その痛々しさに、彼らは何も言えなかった。
翌日は晴れ上がった。まり子は機嫌が良かった。そして、烏森神社で幸吉とまたデートして、彼との結婚を決意する。

 

東京おにぎり娘 1961 大映東京製作 大映配給 若尾文子の美しさが楽しめるホーム・コメディ

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