アカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表としてノミネートされた、史実に基づく戦争映画。
ナチスの降伏後、デンマーク西海岸に埋められた多数の地雷撤去を、ドイツ少年兵の捕虜にさせるが、一人また一人爆死していく・・・。
かつて地雷が埋められていた場所でロケを行った。
第28回東京国際映画祭コンペティション部門にて上映され、デンマーク軍下士官を演じたローラン・モラーとドイツ少年兵を演じたルイス・ホフマンが最優秀男優賞を受賞した。
監督・脚本はマーチン・ピーター・サンフリト

あらすじ

1945年5月。ナチス・ドイツが降伏し、戦争中にデンマーク西海岸にドイツ軍が埋めた200万個もの地雷撤去に捕虜のドイツ兵が駆り出された。その多くが10代の少年兵であり、最低限の爆弾処理訓練しか受けずに作業に当たった。その結果、多数の少年兵が犠牲になった。捕虜を労役に就かせることは当然、ジュネーブ条約違反である。

12名の少年兵の指揮を取らされた、デンマーク軍ラスムセン軍曹はドイツ人への憎悪から、少年兵に食事も与えず地雷撤去に当たらせた。
横一列になって作業して、夜は納屋で寝起きする。
彼らの寝起きする小屋は、農家から借り受けたもので、そこにイリザベトの少女がいる。

空腹に耐えかねた少年兵のヘルムート少尉は、こっそりと夜中に脱走をし、隣家の家畜小屋に忍び込んで家畜の餌を他の兵士に運んだ。ところがその餌は腐っていて食中毒を起こす。
熱をおして作業をしていたヴィルヘルムが注意を怠り、地雷を爆発させて、両手を失う重傷を負う。

数日後、ヴィルヘルムは亡くなる。ラスムスン軍曹は、施設にあったパンを盗んで来て少年兵たちに食べさせる。

地雷を縦に重寝ている地域があった。それに気付いたルートヴィヒはみんなに呼びかけますが、双子の兄・ヴェルナーに届かず大爆発を起こし、ヴェルナーは即死する。ラスムスンは弟エルンストにモルヒネを打ち、無理矢理寝かせる。
軍曹はまた救護施設にパンを取りにいき、少年兵たちに与えました。
またリクリエーションを採用し、休日はラスムスンも一緒に遊ぶようにする。新入りとして、少年兵グスタフとアルベルトが派遣される。
しかしサッカーをしていた時、軍曹の愛犬オットーが爆発に巻き込まれました。
そこはすでに少年兵が調査して、地雷がないとされた場所だった。軍曹は、彼らを甘やかしすぎたと怒り、除去したエリアを縦一列に並んで、歩かせる。まるでデスマーチである。
逃げようと言うヘルムートを、セバスチャンらは必死に止める。

その時、隣家の奥さんが助けてと小屋に駆け込んでくる。娘イリザベトがまだチェックしていない区域に入り込んでしまった。セバスチャンは匍匐前進で地雷を撤去しながら進む。
ところがエルンストが反対側から歩いていき、イリザベトを助けてセバスチャンに託す。その直後、エルンストは吹き飛んだ。

処理済みの地雷をジープに運び込む作業の時、信管が抜けていない地雷が混ざっていてジープごと大爆発して、10人の少年兵が死んだ。

結局生き残ったのはヘルムート少尉、ロドルフ、ルートヴィヒ、セバスチャンの4人だ。
軍曹は4人を帰国させるよう願うが、エベ中尉はドイツ人を地雷除去ロボット程度にしか考えていない。
彼ら4人は地図もない地雷原に派遣されることになった。軍曹は、軍に逆らって4人をドイツ国境まで連れていき、国境まで走って逃げろと命じる。ラスムスン軍曹は、走る少年兵たちを見送った。

雑感

映画自体は脚色してあるので、こう言う事件があったかは不明だが、よく似た事件はあっただろう。

2000名を超える独軍捕虜が除去した地雷は150万を上回ると言われる。捕虜のうち、半数近くが死亡し、または重傷を負った。彼らの多くは少年兵だった。

戦争中の日本兵も英米の捕虜に「戦場にかける橋」を作らせたのだから、デンマークに対して偉そうに言える立場ではない。

ドイツの少年兵は悲惨な目に遭う。映画「橋」でも、ほとんどが死んでしまった。戦後もこの映画のように抑留されてしまい、すぐ家に帰ったわけではない。

日本で言えば、日本兵のシベリア抑留みたいなものだ。祖国に帰りたければ作業しろとムチで叩くだけで、ソ連はシベリア開発に成功したのだから。

少年兵12名の役名は、
・ヘルマン・マークライン
・ロドルフ・ゼルケ (生還)
・フリードリヒ・シュヌアー
・ヨハン・ヴォルフ
・アウグスト・クルーガー
・ヴェルナー・レスナー(双子)
・エルンスト・レスナー(双子)
・ヴィルヘルム・レーバーン
・ルートヴィヒ・ハフケ (生還)
・セバスチャン・シューマン (生還)
・ヘルムート・モアバッハ少尉 (生還)

スタッフ

監督、脚本マーチン・ピータ・サンフリト
製作マイケル・クリスチヤン・ライクス、マルテ・グリュネルト
作曲スーネ・マーチン
撮影カミラ・イェルム・クヌーセン

キャスト

カール・ラウスミュッセン軍曹  ローラン・モラー
エべ・イェンセン中尉  ミケル・ボー・フォルスガード
セバスチャン・シューマン  ルイス・ホフマン
ヘルムート・モーバッハ  ジョエル・バズマン(少年兵唯一の将校)
エルンスト・レスナー  エーミール・ベルトン(双子)
ヴェルナー・レスナー  オスカー・ベルトン(双子)

 

 

ヒトラーの忘れもの/地雷と少年兵 Under Sandet 2015 デンマーク+ドイツ合作 キノ・フィルムズ国内配給(2016)

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