フランスの若者にとってバカンスにいっしょに行く相手がいるかどうかは重要な問題だ。
気持ちが不安定になるこの季節に二組のカップルの揺れる心理を描く恋愛映画
製作はマルガレット・メネゴス、監督・脚本は「緑の光線」のエリック・ロメール、撮影はベルナール・リュティック、音楽はジャン・ルイ・ヴァレロが担当。
主演はエマニュエル・ショーレ、ソフィー・ルノワール
共演はエリック・ヴィラール、フランソワ・エリック・ゲンドロン

あらすじ

パリ郊外にあるセルジー・ポントワーズ市役所に勤めるブランシュは、大学を卒業したばかりのレアと出会いたちまち意気投合した。ブランシュは、レアに水泳の手ほどきをすることになった。そこでレアの恋人ファビアンの友人でイケメン電力技師アレクサンドルと出会い、ブランシュは彼に好奇心を抱くが、内気な彼女は好意を表現することが出来ない。

気の多いレアは、ファビアンに嘘をついて、他のBFとバカンスに出かけた。一人で夏を過ごすファビアンはブランシュと会って、ウィンド・サーフィンに誘う。レアが浮気をしていることを薄々気付いているファビアンは、スポーツ好きなブランシュを好きになるが、ブランシュはアレクサンドルが忘れられない。
何度か会ううちに、ついにファビアンはブランシュと結ばれる。しかし翌朝には、アレクサンドルが諦められないブランシュは全てなかったことにしようと言いだし、ファビアンも渋々同意する。

バカンスから帰ったレアは、ファビアンと一旦よりを戻してしまう。それを聞いてブランシュは複雑な気持ちになる。ところが次にレアに会ったときには、ファビアンと別れたと聞かされる。フリーになったレアはブランシュとアレクサンドルを誘ってパーティーに行こうと言い出す。勝負服を着て待ち合わせのカフェに現れたブランシュは、アレクサンドルがレアばかり話をするので、哀しくなってその場から去ってしまう・・・。

雑感

二人の男の間で揺れ動く女性(ブランシュ)の気持ちの変化を描いた作品。

レアとファビアンはどうして付き合っているのかと思うほど、性格が食い違う。色黒で行動的なのにスポーツ音痴のレアは、理工系でスポーツ大好きのファビアンに飽きが来ているが、次のお相手が見つかるまで我慢している。そんなアクティブなレアと比べて、市役所の高級官吏であるブランシュは運動神経は良いのに異性には消極的だ。垂れ目で地味なブランシュは、イケメンのアレクサンドルに熱い思いを寄せている。しかしアレクサンドルは、消極的なタイプは好きではなく、自分と同じ肉食系のレアに惚れている。果たしてこの四すくみの関係から抜け出して、全員が幸せになれるか?

バカンスを映画の舞台にするのは、「海辺のポーリーヌ」や前作「緑の光線」と同じだ。エリック・ロメールはヌーベルバーグの長老で当時67歳なのだが、こういう少女漫画的な話題が本当に好きだ。それだけ、フランス人はバカンスに命をかけていると言うことなのだろう。

イケメンのアレクサンドルが女性から女たらしと言われ非難されることに対して、「女性が勝手に好きになるだけだ」と宣っている。恐らくその通りなのだろうが、一度で良いからそんなことを言ってみたい。

タイトルは、男性名詞Ami と女性名詞Amie を使い分けていて、「私の女友達のBF」と言う意味になる。「友達の友達(はみんな友達だ)」と言う言葉に引っ掛けている。

スタッフ

製作 マルガレット・メネゴス
監督、脚本 エリック・ロメール
撮影 ベルナール・リュティック
編集 マリア・ルイサ・ガルシア
音楽 ジャン=ルイ・ヴァレロ

キャスト

市役所の官吏ブランシュ  エマニュエル・ショーレ
大学生レア  ソフィー・ルノワール
工業デザイナーのファビアン  エリック・ヴィラール
色男アレクサンドル  フランソワ・エリック・ゲンドロン
アドリアンヌ  アンヌ・ロール・ミューリー

***

実はアレクサンドルは、ブランシュは好きなタイプでなかったが、周りが勝手に彼女の気持ちを盛り上げてしまったのだ。アレクサンドルの本命はレアであり、フリーになったのを機会に告白する。レアは喜びバカンスに行くことを約束するが、同棲するのは半年待ってと答える。

ブランシュの気持ちは既にアレクサンドルからブランシュに切り替わっていた。家に帰ると、ファビアンから伝言が届いていた。二人で会ってお互いの本当の気持ちを知ったので、ブランシュはファビアンとバカンスに出かけることを決める。
ブランシュは、ファビアンと待ち合わせのためにカフェで待っていた。偶然通りかかったレアが、実は・・・と切り出す。ファビアンは、またファビアンが寄りを戻したと思い、泣き出してしまう。ところが話し合ってみると、レアはアレクサンドルと付き合うことになったと言いたかったのと知る。そこへアレクサンドルとファビアンも姿を現わし、四人はそれぞれのカップルになって旅立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

友だちの恋人 L’Ami de mon Amie 1987 仏ロサンジュ映画製作 シネセゾン国内配給(1988)喜劇と格言シリーズ第六弾

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