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ジンジャー・ロジャースが見事な演技でアカデミー主演女優賞を受賞したメロドラマ。二人の男の間で揺れ動く女心。果たして、彼女はどちらを選ぶのか?
クリストファー・モーリーの原作小説をあのダルトン・トランボが脚色し、サム・ウッドが監督したヒット作品。

主演はジンジャー・ロジャース。戦前だけでなく、戦後も非常に愛された女優だった。
共演はデニス・モーガンとジェームズ・クレイグ、グラディス・クーパー

 

雑感

まず現代(戦争直前)のニューヨークを描いて二人の男が一人の女の取り合いをしていることがわかる。
突然、フィラデルフィアの回想シーンに飛んで、その理由が明かされる。

ジンジャー・ロジャーズは、最初から賞狙いのための映画と割り切っていただろう。若手男優二人は、優柔不断な役どころで気持ち悪いし、上手だと思えない。ジンジャーはその不利を全く気にせず、戦後赤狩りの標的になるダルトン・タランボの書いた脚本の力を信じて、自分の演技だけを目立たせることを考えた。それぐらいしないと、アカデミー主演女優賞は取れない。

考えれば、フレッド・アステアとパートナーを組んでダンスをしごかれ、ストレート・プレイでも数多くの映画に出演した。八面六臂の1930年代を過ごして大きく成長した彼女が、オスカーを取るのは当然のことかもしれない。

キャスト

キティ:ジンジャー・ロジャース
ウィンウッド・ストラッフォード6世:デニス・モーガン
マーク・アイゼン:ジェームズ・クレイグ
ストラットフォード店長 : グラディス・クーパー

スタッフ

監督:サム・ウッド
製作総指揮:ハリー・E・エディントン
製作:デヴィッド・ヘンプステッド
脚本:ダルトン・トランボ
音楽:ロイ・ウェッブ
撮影監督:ロバート・デ・グラス
原作:クリストフアー・モーリー「青春の記録」

ストーリー

26歳バツイチのキティ・フォイルは、ニューヨークの化粧品店の売り子だ。彼女をずっと愛している医師マークは何度目かの結婚を申し込む。キティは、あまり金儲けの上手でない彼の求婚をついに承諾した。二人は、今夜12時に病院で会うことを約束した。

キティがルームシェアしている部屋に帰ると、かつて故郷フィラデルフィアで強く愛し合ったウインが来ていた。今度こそブエノスアイレスへ行って、やり直すと言う。彼女が奥さんと離婚したのか、と聞くと離婚できなかったと答えた。それでも、彼女の心をゆれた。12時に波止場に来てくれ、と言ってウインは帰って行った。
ブエノスアイレスへの旅支度をしながら、キティは今日までの半生を省みた・・・。

フィラディルフィアの貧乏人の娘キティは、中学卒業後に雑誌社を経営していたウイン・ストラトフォードの元でタイピストになった。二人は愛し合ったが、雑誌社は倒産して、ウインは裕福な実家に戻ってしまい、彼女は一人でニューヨークで求職活動をする。
キティは、有名化粧品店デルフィーン・デタイユの売れっ子店員になった。そこで貧乏なマーク医師と出会い、デートをするようになるが、ウインのことを忘れられない。

そのウインがニューヨークにやって来て彼女に求婚した。家族の知らないところで二人は結婚した。しかし、フィラデルフィアのストラトフォード家を訪れた際に結婚を1年延期して学校に通えと言われる。ウィンが母や伯父に頭が上がらないのを見て、キティは情けなくなり、離婚してニューヨークに戻った。
しかし、キティはウィンの子どもを妊娠していた。彼女はウィンが良家の子女と結婚するという新聞記事を読み、彼に子供のことを知らせなかった。やがて、彼女は死産する。
数年が経ち、デルフィーヌ・デタイユがフィラデルフィアに出張販売に出掛けた。そこでキティは、ウィンの妻子に出会う。彼の息子は、彼そっくりだった。

さて、出港時間が近づいてくる。キティは、荷物をまとめタクシーに乗った。行き先は病院だった。

 

 

恋愛手帖 Kitty Foile 1940 RKO製作・配給 (国内配給 1947年セントラル映画社) – ジンジャー・ロジャーズの傑作

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