(☆)男女関係における様々な嘘を描いた映画(短編)が三本からなるオムニバス映画。先にオムニバス映画「女経」が成功したので続編として企画された。
第一話は白坂依志夫が脚本を執筆、増村保造が監督、撮影は石田博。第二話は笠原良三が脚本を執筆し、吉村公三郎が監督、撮影は小原譲治。第三話は新藤兼人が脚本を執筆して、衣笠貞之助が監督、撮影は渡辺公夫が担当した。
主演は(第一作)滝暎子、(第二作)叶順子、(第三話)乙羽信子、森光子、中田康子

雑感

若尾文子、山本富士子、京マチ子が主演したオムニバス映画「女経」と比べると、小粒感が否めない。
第一話の主演滝暎子は熱演しているのだが、力不足を感じた。第二話は好きな叶順子が主演だからナノだけど、悪くなかった。彼女は、この年に眼の病がもとで引退している。
衣笠貞之助が演出した第三作が最も面白い。殺人事件もあるし、乙羽信子、森光子、中田康子のうち誰が本当のことを証言しているのか分からない。ミステリアスな映画だった。

 

キャスト

(第一話)
滝瑛子  林万里子
ジェリー藤尾  菊村葉介
仲村隆  植野次郎
鹿内孝  山田義昭
小林勝彦  大垣秀夫
江波杏子  竹中美恵
潮万太郎  父林心平
村瀬幸子  母林年子
村田扶実子  アメ横のおばさん
三角八郎  クロークの男

(第二話)
叶順子  女優晴海新子
川崎敬三  製薬会社のサラリーマン仙崎康夫
益田喜頓  製薬会社社長山中重兵衛
山茶花究   総務部長望月
穂高のり子  ホステス道子
大辻伺郎  道子の夫タカシ
渋沢詩子  とよ子
早川雄三  後藤
町田博子  重役夫人

(第三話)
乙羽信子  田代の愛人道代
森光子  田代の妻安子
中田康子  謎の女時枝
船越英二  セールスマン田代幾馬
宇津井健  警部補
原田玄  刑事
滝沢修  裁判長
北原義郎  検事
春本富士夫  弁護士

スタッフ

(第一話)
企画  藤井浩明
脚本  白坂依志夫
監督  増村保造
撮影  石田博
音楽  橋本国雄
(第二話)
企画  三輪孝仁
脚本  笠原良三
監督  吉村公三郎
撮影  小原譲治
(第三話)
企画  川崎治直
脚本  新藤兼人
監督  衣笠貞之助
撮影  渡辺公夫

 

ストーリー

第一話「プレイガール」

処女を売って玉の輿に乗るのが夢だという万里子は短大生だが、ノートに四人のボーイフレンドの特徴を書いてあり、衣装に気を配り、毎日この四人をかけもちで遊びほうけている。ある日、ボーイフレンドの一人山田とボーリング場に行くと、友人の美恵と来ていた、別のボーイフレンドの菊村葉介とかち合ってしまう。菊村は、最も魅力的であるが何回も誘いをかわしていた。

第二話「社用2号」

女優晴海新子は製薬会社の社長山中が東京支店出張の際の愛人である。新子の生活費は交際費で落とすので総務部長には社用二号と言われている。最近、社長は贅沢な新子をもてあまし、絶縁を望んでいた。ある日、会社と新子の連絡役として使われている仙崎は、朝その月の手当を持ってくるが、酒を一杯飲むと彼女に告白し、ベッドに入る・・・。

第三話「3女体」

中年のセールスマン田代幾馬がアパートで妾伊藤道代に拳銃で撃たれて死んだ。二ヶ月前、石巻に商用で行った田代は道代と出会い二ヶ月の愛人契約を結んだ。期限が来たので、彼は彼女に帰るように強く奨め、嫌がっていた道代は去ったはずだった。妻である安子は、不実な夫に対する天罰だと言う。警察に逮捕された道代は拳銃の入手先の証言を二転三転させる・・・。

ストーリー(続)

(第一話)その夜、本命の葉介をアパートに訪ねると、彼は美恵を抱いていた。一度は飛び出した万里子だったが、思い直してアパートに戻った。洋介の前に身体を投げ出した万里子はその夜、葉介と寝た。翌朝、万里子はさっぱりとした顔で、洋介に別れを告げる。ボーイフレンドのノートも破り捨て、新たな目標を求めて万里子は行くのだった。。(第二話)夕方、ベッドで戯れる二人の前に社長が現れ、絶縁宣言となってしまう。ところが、仙崎は意外なことを告白する。今回の浮気の件は社長が筋書きを書き、彼は言うなりになっていただけなのだ。おかげで仙崎は大阪本社に栄転した。しかし、仙崎は新子と別れるのを心から惜しんだ。
数日後、新子の怒りも収まった。そして、仙崎の笑顔が思い出されるのだった。(第三話)裁判が始ると道代の拳銃の入手先を明らかにした。謎の女が道代に拳銃を渡したと言うのだ。妻安子は、それは時枝に違いないと証言する。時枝が出廷するが、自分が戸籍上の田代の妻であると証言する。しかし、拳銃については、とぼけた証言しかしない。挙げ句の果てに道代まで時枝を庇い始める。一体、誰が嘘を吐いているのか。確実なことは、三人の女が田代を愛し憎んでいたことだ。

 

嘘 1963 大映東京製作 大映配給 – ヒットした「女経」に続くオムニバス女性映画第二弾

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