(☆)西ドイツの音楽映画。マリア・フォン・トラップによる自叙伝「フォン・トラップ・ファミリー合唱団物語」の後半を映画化したもの。映画「菩提樹」の続編にあたる。あのトラップ一家が祖国オーストリアを離れてアメリカの大都会で貧困に苦しむ姿が描かれる。
前作と同じくヴォルフガング・リーベンアイナーが監督を務め、撮影もウェルナー・クリーン。脚本は、新たにヘルベルト・ライネッカーが担当する。
主演は前作と同じルート・ロイヴェリック、共演はハンス・ホルト、ヨゼフ・マインラート、ミハエル・アンデ

雑感

アメリカのミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」は尻切れトンボのような形で終わっている。というのは、1938年にアメリカにやって来たオーストリア人がアメリカでそう簡単に受け入れられたと思えなかったからだ。

「サウンド・オブ・ミュージック」のオリジナルは、西ドイツ映画「菩提樹」だが、「続・菩提樹」は前編で飛ばされた部分を詳細に描いている。彼らは、やはり言葉や文化の壁など移民の苦しみを味わっていた。ライブ内容をオーストリア民謡やアメリカ曲に構成し直して、ようやくアメリカの観客に受入られた。

次男ヴェルナー役のミハエル・アンデは、当時名子役として活躍し前年にはドイツ映画「野ばら」でも主役を演じた。最近はテレビドラを中心に出演している。

キャスト

ルート・ロイヴェリック  マリア・フォン・トラップ
ハンス・ホルト トラップ男爵
ヨゼフ・マインラート  ヴァスナー神父
ウォルフガング・ヴァール  パトリック運転手
アドリエンヌ・ゲスナー  ハマーフィールド夫人
ピーター・エッサー  ハマーフィールド氏
<トラップ家の子供たち>
ミハエル・アンデ  
クヌース・マールケ
ウルスラ・ヴォルフ
アンゲリカ・ヴェアス
モニカ・ヴォルフ
ウルスラ・エトリッヒ
モニカ・エトリッヒ

スタッフ

製作  ハインツ・アーベル
監督  ヴォルフガング・リーベンアイナー
脚本  ヘルベルト・ライネッカー
撮影  ウェルナー・クリーン
音楽  フランツ・グローテ

 

ストーリー

アメリカに渡ったトラップ一家は、エージェントのゼーミッシュと契約して地方巡業を行ったが、ヴァスナー神父が宗教歌を歌わせたことから、コンサートは失敗し、ゼーミッシュは中途解約してしまう。

ニューヨークのボロアパートに一家は押し込められる。子供たちが歌っていると、酔った水兵が通りかかり、金を置いていく。彼らはアメリカの黒人聖歌「オールド・ブラック・ジョー」を歌うと、近所の人たちが聞きに来る。隣人の歌手ブロンクス・リリーが、ハリスというエージェントを紹介した。
オーディションでは、神父の選んだ宗教歌で落とされそうになったが、マリアが直談判して契約成立となった。ただし、5000ドルの宣伝費は自前になった。マリアもさすがに絶望的になる・・・。

オーディションを聞いていたウィーン生れのハンマーフィールド夫人は、自宅パーティに一家を呼び、歌わせてくれた。そこでマリアは、ダメ元で夫人に5000ドルの融資を申し込む。ハンマーフィールド氏は、無口なチャッカリした人で5000ドルを与える代わりに出演料の10%をもらうことで契約した。
再び彼らは巡業に出るが、聴衆は歌手に落ちぶれたオーストラリア貴族トラップ一家の顔を見にくるだけだった。
ツアーバスがバーモント州を通ったときに、マリアは故郷ザルツブルグに似た土地と廃屋を見つけた。しかし、コンサートに遅刻してしまう。とっさにマリアは軽快な歌を歌うと、会場の雰囲気が良い。アンコールには、アメリカの曲「おおスザンナ」を歌った。すると大喝采が起った。こうして一家がアメリカ社会に受け入れられた。
バーモントの廃れたロッジも買い取った。その修繕工事を始めた矢先、ニューヨークの移民局から呼び出しを受ける。
しかし富豪ハンマーフィールド夫人が再び動いてくれて、一家は米国滞在の延長を認められる。
トラップ一家はこの後、アメリカの市民権を得て、音楽活動を続けたのであった

 

 

続・菩提樹 Die Trappe-Familie in Amerika 1958 ディビナ・ウッターマン・プロ製作 (映配 1959年国内配給) – 「菩提樹」の続編

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