安藤日出男が脚本を執筆し村野鐵太郎が監督したアクション映画
主演は本郷功次郞、共演は中田康子三條江梨子大辻伺郎

白黒映画。

あらすじ

鹿児島の航空会社パイロット東健一は小児マヒが発生したため、ワクチンを届けるためアパッチ飛行機に看護婦並木玲子を乗せて奄美大島へ向っていた。
ある小島上空にさしかかったとき、台風観測所(タイフーン・サイト)からの緊急通信を受けて着陸する。東が一人で観測所に行くと、ニセ札偽造団の一味が占拠していて観測員は縛られていた。エミ、パイロットの三上、脚の悪い佃、丸坊主の大門である。彼らは乗っていた自家用機が故障したため島に不時着して、東の飛行機が通るのを待っていた。機内で待っていた玲子は、無線を通して観測所内部のやりとりを聞き、機を離れる。

彼らが海外に逃げるには燃料が不足しているので、観測員の吉本を道案内に三上と大門は車で岬の倉庫に取りに行った。倉庫への途中、大門が酔って暴れ、車から落ちる。死にはしなかったが、気を失ってしまった。三上は大門をひとまず放置して倉庫に急いだ。観測所ではエミと佃が残り、銃を構えて東たちを見張っていた。

玲子が逃げている最中に大門が伸びているのを発見する。玲子は大門に手当を施すが、それが終わると、大門の魔手が玲子に伸びる。玲子は組み伏されるが、石で頭を殴ると、また大門は伸びてしまう。ところが玲子は、灼熱の屋外にいて暑さで生ワクチンが腐るのを恐れ、冷房の効いている観測所に戻る。
車で燃料を積んで観測所に帰る途中、吉本観測員は三上に飛び掛かる。揉み合う内にガソリン罐を誤射してしまい、大爆発が起きて三上は吹っ飛んだ。吉本はハンドトーキー(携帯トランシーバー)でSOSを発する。
佃はそれに気付き、外に三上を探しに行き、銃を手にしたエミが一人で残る。東は思い切って動くが、エミの思わぬ早撃ちで肩を射貫かれる。それでも隊員たちは反撃するが、佃と大門が戻ってきて形勢は再び逆転する・・・。

雑感

小島の観測所に立てこもる偽造団とそれに対するパイロットと観測所員の死闘を描いている。十分な時間つぶしになるアクション映画だ。
途中で微妙な心理戦が展開されるが、本郷功次郞では中田康子にかなわないw。しかし最後に偽造団が欲をかいて同士討ちに始めたのは、吉本観測員が身を挺して燃料を補給させなかったおかげである。

プロデューサーの中島源太郎は、中島飛行機の創業者の息子である。慶応大学を卒業して大映に就職し、原案部門(代表作:宇宙人東京に現わる)からプロデューサー(代表作:黒の試走車)になり、6年後に40歳で衆議院議員に当選した。1987年の竹下登内閣発足では文部大臣を歴任した。

村野鐵太郎監督は早稲田大学で篠田雅弘監督の同期。フリーになった後、1979年に映画「月山」(原作は森敦の芥川賞受賞作品)でアカデミー外国語映画賞日本代表になった。イタリアのサレルノ国際映画祭も二度受賞している。

 

スタッフ

企画 中島源太郎(プロデューサー)
構成 菊島隆三
脚本 安藤日出男
監督 村野鐵太郎
撮影 渡辺公夫
音楽 山内正

キャスト

東健一(パイロット) 本郷功次郎
並木玲子(看護婦)  三条江梨子
偽造団首領エミ(印刷所の娘)  中田康子
偽造団佃(エミの情夫)  大辻伺郎
偽造団パイロット三上  高松英郎
偽造団大門  藤山浩二
吉本観測員  川畑愛光
田川観測員  石井竜一
坂観測員  早川雄三
国枝観測員  見明凡太朗
浅香観測員  千波丈太郎
小林海上保安官  三田村元

 

***

そのとき、海上保安庁の偵察機が島の周りを飛び回った。一味は急いで沖縄まで逃げようとしたが、アパッチ機の現存燃料で沖縄に行くには操縦士を入れて二人しか乗れない。三上が死んだので東が操縦しなければならない。そこで残り一人の座を巡ってエミ、佃、大門の同士射ちが起こり、エミが大門を射殺する。脚の悪い佃が残っている燃料を調べに行くと、機内では吉本が待ち伏せしていて、佃を殴って気を失わせる。エミは東を連れて外に出る前に銃を乱射して観測所の設備を破壊する。その隙を見て吉本が観測所に入り、銃を渡された東はエミを撃つ。
ところが最後に現れたのは、佃だった。激しい打ち合いで最後に佃を撃ち殺したのは、浅香所員だった。
救命機が20分後島に着くとの連絡が入り、後を観測員に任せて、東と玲子はワクチンを待つ奄美大島へ飛行機を大急ぎで飛ばして行った。

 

 

 

視界ゼロの脱出 1963 大映東京製作 大映配給 本郷功次郎主演アクション

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