この映画脚本は川端康成の原作小説からかなり改編している。原作者存命中の作品だから、原作者は脚本チェックをしているはず。しかも岩下志麻は他の川端康成作品(「古都」1963)にも出演していて原作者のお気に入りだったようだから、こういう改編は認められたものと考えられる。

 

出だしは時系列に従い、主人公島村が越後湯村温泉(モデルは越後湯沢温泉、ロケ地は信州野沢温泉)に寒い季節に初めてやって来て、駒子と初対面する場面から始まる。そのときはまだ駒子は芸者に出ていなくて、客に踊りを披露するだけだった。数年前に東京から帰ってきたばかりだったので、東京在住の主人公がまぶしい。主人公が東京へ帰る前の晩に一線を越える。
国境を越えると雪国だった」二度目に湯村にやって来るが、そのとき有名な小説冒頭の言葉が語られる。そしてある意味で駒子を運命付ける女・葉子が登場する。師匠の息子が病気になり東京から帰ってきたので、医療費を稼ぐために駒子は芸者になっていた。その夜から駒子は毎晩のように島村の部屋を訪れる。しかしだんだん寒くなってきたので島村は東京へ帰るが、その日に師匠の息子が亡くなる。
三度目も一年ぶりに島村はやってくる。師匠も亡くなり四年奉公で置屋へ移った駒子は長い間放置された恨み言をタップリ言うが、結局島村から離れられない。また師匠の家で一人暮らす葉子は旅館の手伝いをして身を立てているが、島村に東京へ出たいと言い出す。そろそろ重く感じはじめていた島村は駒子ともう別れようと思うが、そんなとき映画小屋が火事で焼けて葉子が目をやられる。

 

池部良、岸恵子の「雪国」(東宝)のときは岸恵子の華やかさと池部良のダンディさが相まって温泉宿なのに都会っぽく感じた。
旧作は男優(池部良)の方が目立っていたが、新作では木村功が抑えた演技で岩下志麻を引き立てている。もともと佐田啓二をキャスティングしたかったそうだが交通事故で亡くなったために交替した人選だそうだ。

女優も岩下志麻は東京帰りかも知れないがどこか土着の女性なので、岸恵子より家庭的な女らしさがにじみ出ている。

と言うわけで男女ともに、新作の方が良かった。

 

監督:大庭秀雄
脚色:斎藤良輔、大庭秀雄
製作:山内静夫
撮影:成島東一郎
音楽:山本直純

出演:
岩下志麻
木村功
加賀まりこ
沢村貞子
早川保
柳沢真一
岩崎加根子
浪花千栄子

 

雪国 1965 松竹

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