30年代から40年代にかけ作曲家リチャード・ロジャースと組んでヒット曲を連発した作詞家ローレンツ・ハートが1943年に48歳で亡くなった。これは戦後になってからのその追悼映画(カラー、日本未公開)である。
MGMのビッグスターが次々と登場するオールスター映画にもなっている。
主役はミッキー・ルーニー(ハート役)とトム・ドレイク(ロジャース役、最近見た顔だなと思ったら「ワーロック」でギャングをやっていた)のコンビ。
そしてヒロインとしてはハートの恋人役でベティ・ギャレット、ロジャースから見て年上の片思い役としてアン・サザーン、ロジャースの結婚相手で若いジャネット・リー(ドロシー役)が顔を揃えている。
劇中の舞台上ではペリー・コモ、シド・チャリシー・ジューン・アリスン、リナ・ホーン、ジュディ・ガーランド、メル・トーメ、ジーン・ケリー、ヴェラ・エレンが花を添える。
June Allyson: “Thou Swell”
Judy Garland: “Johnny One Note” , “I Wish I Were in Love Again”
Lena Horne: “The Lady Is a Tramp” , “Where or When”
Gene Kelly and Vera-Ellen dance: “Slaughter on Tenth Avenue”
Mel Tormé: “Blue Moon”
映画としては脚本と演出がなっていないものだった。
ハート&ロジャースは実際は映画に描かれている関係とは違いもっと複雑なものだった。
ハートは同性愛者であり、精神状態が常に不安定だったためノンケのロジャースとは袂を分かつ。
そしてロジャースは「オクラホマ」(1943)から「サウンド・オブ・ミュージック」まで作詞家オスカー・ハマースタイン二世と組んだ。
映画は内情をわかったものがあえてフィクションを作っているので、どこかきれい事を言っているように見えた。
しかし、あれだけ凄いメンバーが歌ってくれるのだから文句は言えない。歌詞も同性愛という背景を知ってから聞くと全く違って聞こえる。
中でもリナ・ホーンの「レディ・イズ・トランプ」が聞けたのと、若い頃のメル・トーメが優男であり、「ブルームーン」を聞かせてくれたのが良かった。
製作 アーサー・フリード(ミュージカル映画の大プロデューサーでドスケベ)
監督 ノーマン・タウログ
カラー撮影 チャールズ・ロシャー / ハリー・ストラドリング
音楽 リチャード・ロジャース / ロレンツ・ハート
出演 ミッキー・ルーニー / ペリー・コモ / ジュディ・ガーランド / ジューン・アリスン / トム・ドレイク / アン・サザーン / ジーン・ケリー / リナ・ホーン / シド・チャリシー / ジャネット・リー