初代ウルトラマンの宇宙飛行士が怪獣ジャミラになって宇宙から帰ってきた話を思い出した。実際、ウルトラマンとほぼ同時に製作され始めている。

映画の完成はSFX映像の完成を待ったため、ウルトラマンより遅くなり1968年である。

アカデミー賞特殊視覚効果賞獲得。
ニューシネマを先取りしたようなカルト作品である。
単純に言えば、三つのモノリスの話だ。

 

スタッフ

 

監督・製作・特殊効果 スタンリー・キューブリック
脚本 アーサー・C・クラーク、スタンリー・キューブリック
撮影 ジェフリー・アンスワース
追加撮影 ジョン・オルコット
特殊効果監修 ウォーリー・ヴィーヴァーズ 、 ダグラス・トランブル 、 コン・ペダーソン 、 トム・ハワード

 

出演

キア・デュリア
ゲーリー・ロックウッド
ウィリアム・シルベスター
ダグラス・レイン(Hal 9000 の声)

 

あらすじ

 

原始時代、最初のモノリスを類人猿が見つける。

ついで2001年、月面で第二のモノリスが見つかる。
これは木星から強烈な電波照射を受けている。
人類は木星にこの謎を解く鍵があると思い、宇宙船ディスカバリー号でボウマン艦長たちを向かわせる。
しかしディスカバリー号の搭載コンピューターHALに異変が生じた。

 

雑感

 

学生時代当時、人工知能のブームだった。
この映画のリバイバルブームが起きた頃、大学の情報科学科の友人たちが「HALこそが未来のコンピューターだ」と、やかましかったのを思い出す。
原作で、(ボーマンが進化した)スターチャイルドは、平和のため地球を取り囲んでいた核ミサイル衛星を破壊することまでハッキリ書いている。

 

キラーエイプ仮説と言うのがある。人類は殺し合う肉食生物だというのだ。ダーウィンの進化論をベースとしてアウストラロピテクスの発見者レイモンド・ダートの発表した説で劇作家ロバート・アードレーが拡張したものだが、現在は否定されている。

キューブリックはその仮説に従い、人間が二足歩行をするようになって両手を使えるようになると、道具を使って他人を殺すことを覚えたと考えたようだ。そこで映画で、宇宙人(神)が与えたモノリスは道具の使用を類人猿に教えたが、類人猿は身内を殺すためにその技術を使って後に兵器を使って戦争するようになったと言うわけだ。

映画は、キューブリックが意識的に謎めいた作り方(説明を最小にしたり、シーケンスを逆転する)をしたおかげで、わかりにくくなった。
実は映画の結末は原作小説の結末と同じだ。(映画発表時にはまだ発売前だった)
でもそれからあとは、どうなるのか?
あの格好のまま、地上に降りて核施設を破壊するのか(笑)。

この映画自体は当時のドラッグ・サイケ文化にも影響を受けている。
また監督は、彼ら同様に(神としての)宇宙人の存在を信じていたようだ。
キューブリックはユダヤ人だが筋金入りの無神論者だった。無神論者にとっての神とは宇宙人をさすそうだ。

 

 

2001年宇宙の旅 1968 MGM – キューブリックの壮大なスペースオペラ –

投稿ナビゲーション