チャールトン・ヘストンがアメリカ人の捕虜となった指揮者を演じる戦争映画。(音楽映画でもある)
原作は英国の「怒れる若者世代」の中でも身分が低くて高等教育を受けていない「叩き上げ」作家アラン・シリトー(「土曜の夜と日曜の朝」「長距離走者の孤独」)の第2長編「将軍 The General」の映画化である。
監督は「まごころを君に」のラルフ・ネルソン。共演はマキシミリアン・シェルキャサリン・ヘイズら。
演奏される曲目はベートーベン交響曲第5番「運命」、チャイコフスキー「白鳥の湖」、ブラームス交響曲第1番第4楽章、ワーグナー「タンホイザー序奏」。
 

 

 

あらすじ

 
米国の名指揮者ライオネル・エバンズ(チャールトン・ヘストン)はオーケストラを率いて、解放されたばかりのベルギーに慰問演奏旅行に出かけた。しかし潜んでいたナチス・ドイツ軍に捕らわれる。ルクセンブルクの古城でアーント大佐(アントン・ディフリング)は、ジュネーヴ条約など知ったことでないと全員銃殺刑を科すが、音楽を愛するシラー将軍(マクシミリアン・シェル)は、ナチスに対してハッキリと反論を述べるエバンズに強い関心を抱き、私の前で演奏するまでは処刑は延期とすると発表する。エバンズらは暖房のない地下の酒蔵に収容されるが、ひたすら練習をして時間稼ぎをする。二人の米軍兵が楽団員に紛れ込んでいたので、二人を逃がして援軍を呼ぼうとしたが、二人とも死体で発見される。どうやらナチスの内通者が楽団内にいるようだ。
ついにナチスの退却が決まり、今夜「タンホイザー」を演奏をしなければならない。そこで味方レジスタンスと連絡が付く。ドイツ軍の大部分は既に撤退を開始しているので、演奏終了と同時に手薄になったドイツ軍に対して攻撃を仕掛ける。演奏終了直前にシラー将軍は退席して、残ったのはアーント大佐と部下数名だ。何とか楽団員をバスに乗せて逃がし、エバンズはレジスタンスと共に、楽団員の墓として掘られた穴に飛び込み、銃撃戦を行う。しかし火力に勝る独軍に追い詰められたエバンズはコンサート会場に隠れるが、執念深いアーント大佐は逃がしてくれない。もはやこれまでと思ったとき、銃声がしてアーント大佐は絶命する。シラー将軍が戻ってきて射殺したのだ。彼は世界的指揮者を殺すに忍びなかった。そして独兵にエバンズを私が射殺したので即時退却せよと告げ、去っていく。
 

雑感

 
上手く作ればもっと面白い作品になったのに、チャールトン・ヘストンが指揮者に見えないのがあまりに残念。
捕虜である指揮者を主人公の映画にするのは良いのだけれど、真の主人公である将軍の内面を見つめる作品にしなかったので、原作の味わいはかなり薄くなった。
漫画家の坂田靖子は、映画に刺激を受けたのか同人漫画にしてしまった。後に講談社から市販されているが、将軍と指揮者の間の同性愛を匂わせる内容になっているw。
 
なおレスリー・ニールセンが、エバンズの元カノを妻(キャサリン・ヘイズ)に持つコンサートマスター役で出演している。

 

スタッフ・キャスト

 
監督 ラルフ・ネルソン
製作 ディック・バーグ
原作 アラン・シリトー
脚色 ジェームズ・リー 、 ジョエル・オリアンスキー
撮影 ラッセル・メッティ
 
配役
指揮者ライネル・エヴァンズ チャールトン・ヘストン
シラー将軍 マクシミリアン・シェル
ヴィクターの妻アナベル  キャスリン・ヘイズ
コン・マスのヴィクター レスリー・ニールセン
死刑狂のアーント大佐 アントン・ディフリング

誇り高き戦場 Counterpoint 1967 ユニバーサル映画 アラン・シリトー原作小説を映画化

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