監督佐藤純彌、主演丹波哲郎の「Gメン’75」コンビがお送りする暴力団抗争映画。
共演は千葉真一、近藤宏、内田良平、渡辺文雄、月形龍之介、カメオ出演に鶴田浩二

あらすじ

東京では矢東組と赤松組の対立が激化していた。矢東組は老舗であり、赤松組は新顔だが関西の新生会の支援を受けて豊富な資金力で愚連隊に銃を持たせて傘下に加えていた。矢東組の若頭高杉哲夫は銃を用意しなければならず、拳銃ブローカー河北の紹介で横浜ハリソン商会の今西を訪ねる。

その頃、矢東組では資金集めのため賭場を開いていたが、赤松組の急襲を受けて矢東組員が銃で撃たれてしまう。その頃、高杉哲夫も殺されて発見される。警視庁の浦上警部はこれを機に暴力団の拳銃ルートを押さえようとしてブローカー河北を逮捕、収監するが、それ以外に目立った成果は上がらなかった。
新生会の寺町は東京進出のため赤松組を関東支部として右翼の大物である大田黒を招きパーティーを開くが、矢東組と古参の暴力団が手を組んで殴り込みをかけて血の海になる。

大田黒は混乱を回避するため新生会の東京進出に待ったを掛け、矢東組と赤松組を喧嘩両成敗としてともに解散させて、自分の主催する右翼団体に所属させる。

殺された高杉の弟晋次は兄の仇を打とうとして京都競馬場で寺町に襲いかかるが、逆に打ちのめされる。その代わり兄の仇は今西だと教えてくれる。晋次は東京へ舞い戻り元組長らに仇の存在を明かすが、元組長は解散したのだからと相手にしてくれない。そんなとき河西が娑婆に出てきた。彼は晋次を助けて仇を取ってやると言ってくれる。実は河北の堅気の妹が新宿の暴力団抗争に巻き込まれ拳銃で撃たれて両眼を失明してしまったのだ。それで彼も今西を恨んでいたのだ。

晋次と河北はハリソン商会に殴り込みをかけて、河北と今西は相討ちとなる。浦上警部が駆け付けると、拳銃百丁が密輸されると言い残し河北は亡くなる。浦上警部と晋次は羽田空港に急行して、密輸品の運び屋ハリソンを逮捕しようとするが、大田黒が彼は外交官だから警察には手は出せないと言う。たしかに彼は外交官旅券を持っていた。捜査二課長も浦上に諦めろと言う。

すると晋次がハリソンから荷物を奪って中身を調べる。怒ったハリソンは拳銃で数発撃つが、荷物に入っていた拳銃を浦上警部に示して息を引き取る。ハリソンは現行犯逮捕され、大田黒は何も言わずに引き上げていった。

雑感

ヤクザものと見せて、実は背景に海外からの拳銃密輸があり右翼結社への組織集中があったという歴史をなぞっていて、実録風である。
そこを採って、「組織暴力」シリーズが佐藤純彌監督の中で最も素晴らしいと言う人がいるが、自分は佐藤監督は大作でこそ光る監督だと思っていた。「仁義なき戦い」と違って群像劇でもなく、かと言って誰が主役と言うほど突出してもない。丹波哲郎千葉真一も主役というには出番が中途半端だ。鶴田浩二に至ってはカメオに過ぎない。

俳優河合絃司が丹波哲郎の上司の課長役で出てきた。捜査一課のいぶし銀で平塚八兵衛的役柄が多かったと思うのだが、67年からすでに丹波さんより上の役だった。河合絃司は理科系だったので戦前は沖電気にいて戦後は進駐軍に勤めていたが、日本映画俳優学校校長の竹内良一に師事し、独立映画「真昼の暗黒」でデビューした。丹波さんより四つ年上だが、芸歴は新東宝出身の丹波さんが5年上だ。

まだこの時代だと小林稔侍室田日出男は役名とセリフがある程度のチョイ役だった。

スタッフ

企画 俊藤浩滋 、 栗山富郎 、 矢部恒
脚本 佐治乾 、 鈴樹三千夫
監督 佐藤純彌
撮影 仲沢半次郎
音楽 佐藤勝

キャスト

浦上警部 丹波哲郎
高杉晋次 千葉真一
兄高杉哲夫 高宮敬二
大田黒正堂 月形龍之介
矢東組長 見明凡太朗
竜村 近藤宏
寺町 内田良平
今西 渡辺文雄
赤松組長 小松方正
栗林 松村達雄
中里 関山耕司
芦田刑事 井川比佐志
堀池刑事 室田日出男
捜査四課長 河合絃司
ハリソン支店長 A・アパナイ
赤松の幹部 八名信夫
失明の娘 小野慶子
チョロ吉 小林稔侍
拳銃ブローカー河北 鶴田浩二
情婦 宮園純子

組織暴力 1967 東映制作・配給 組織暴力シリーズ第一弾

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