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人質立てこもり事件
の恐怖を描く菊村到の原作「閉じこめられて」を石松愛弘が脚色し、西村潔が昇進第一作として監督したカルトバイオレンス映画
カラー映画で撮影は原一民。
主演は高橋幸治、黒沢年雄、緑魔子(東映所属)。共演は草野大悟

雑感

2時間ドラマが始まる時代の前の、面白い1時間単発ドラマのような作りだ。
60年代から70年代にかけての単発ドラマには面白いものがあった。
しかも、映画の中でリアルタイムで事態が進むように作られている。

恋人を嫉妬心から殺した若者(黒沢年雄)が、夜の喫茶店に銃を持って侵入する。しかも警官を射殺して、喫茶店に人質と共に立て込む。
人質は元レーサー(高橋幸治)と不倫している愛人(緑魔子)、新婚カップル、禿げた医者、運転手、若い女性の二人組、暗い男、そして喫茶店のマスターである。
そこで起きる人間たちの欲望まるだしのサバイバル劇を映画は描いている。

一つ注意しておく。警官が射殺されるシーンは、リアルに描かれているのでいまどきの神経質な人が見るとショックを受けそうだ。

 

キャスト

黒沢年雄  若い男
高橋幸治  元レーサー松岡
緑魔子  愛人弓子
小栗一也  喫茶店マスター
若宮大佑  禿げた医者
江原達怡  新婚の男
田村奈巳  新婚の女
草野大悟  陰気な男
石田茂樹  運転手
木之内ゆみ  若い娘A
佐藤紀伊子  若い娘B
中山仁  二枚目の男
金原亭馬の助  TV司会者
伊藤久哉  刑事

 

スタッフ

製作  山田順彦
原作  菊村到「閉じこめられて」
脚色  石松愛弘
脚色  小寺朝
監督  西村潔
撮影  原一民

 

ストーリー

松岡は、かつての名レーサーで今は車用品店を経営している。一緒にドライブしている弓子は彼との不倫を楽しんでいる。午後十一時過ぎに、二人がドライブ・インに入った。店内にはマスターの他、七人の男女が休んでいた。
そこへGパン姿の若者が拳銃を持って、入って来た。彼は浮気している自分の愛人を射殺して来たと言う。愛人は十一時半に、ここで浮気相手と待合せをしていた。若者はその男を殺すために来たのだ・・・。

そこに警官が重要事件の容疑者を捜査に来た。若者は、警官を射殺すると店内の一人一人に命令を下した。まず医者に新婚の女を抱かせると、新婚の男に復讐をけしかけた。
やがて、若者は松岡に銃を向けた。弓子は松岡を庇って、松岡の前に出た。若者は、弓子に裸になるよう命じた。
その時、銃声がして若者は倒れた。若者を射殺したのは、陰い男だった。警官隊が彼を取り押さえると実は、彼こそが警官連続射殺事件の犯人だった。若者の犯罪はまだ誰にも知られてなかった。やがて、浮気相手の二枚目の男も店に遅れてやって来た。

 

死ぬにはまだ早い 1969 東宝東京製作 東宝配給 – 黒沢年男と高橋幸治のバイオレンス映画

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