文藝春秋社が発行する文芸月刊誌「オール読物」に1952年から連載された、村上元三原作連作時代小説「次郎長三国志」の映画化で全9作の内、第2部にあたる。(第9部は制作途中で監督が降りて未完)
第一部と同時に撮影されたため、製作、監督、撮影その他のスタッフ及び出演者は新入りの森繁久彌、堺左千夫、石井一雄を除いて第一部と同じ。第一部同様に第二部も、脚本は原作者が担当している。
あらすじ
庵原川(いはらがわ)の喧嘩のあと、次郎長はお蝶と婚礼を上げてその足で、大政、鬼吉、綱五郎に法印大五郎を加えて、お上の追っ手を避け、初めて一家で旅に出た。
道中で赤鬼の金平一家相手に喧嘩をしていた増川仙右衛門のため仲裁をした。また沼津で旅館を営む佐太郎は旧知の次郎長を歓迎するため、女房の着物を質に入れた。それに同情した仙右衛門は次郎長たちの着物を質に入れ佐太郎と賭場でひと稼ぎ狙うが、自分たちまで身ぐるみ剥がされてしまう。次郎長一行はふんどし一丁の裸になって、仙右衛門の恋人おきねの頑固親父を訪ねて二人の仲をまとめてやる。親父には古着を都合してもらい、仙右衛門の決着をつけに金平一家に乗り込む。案の定、金平は新参者の次郎長の言うことをきかず果し合いになるが、多勢の金平を次郎長一家はやっつける。街道の茶店で森の石松と初めて出会い、どもりを鬼吉と大五郎が笑ってしまう。しかしどもりのくせに、喧嘩となると歯ぎれのよい仁義を切る石松に次郎長は惚れ込む。
雑感
「次郎長三国志」のオリジナルは自らも映画に出演している二代目広沢虎造の浪曲である。清水次郎長一家の群像劇の形式になっていて、それをベースに歴史資料と合わせて村上元三が小説化した。第2部は有名な次郎長一家の裸道中のシーンがある。森の石松がこの回から登場して、演じた森繁久彌はブレークするきっかけとなった。
スタッフ・キャスト
監督 マキノ雅弘
製作 本木莊二郎
原作 村上元三
脚本 松浦健郎 、 村上元三
撮影 山田一夫
音楽 鈴木静一
配役
清水次郎長 小堀明男
大政 河津清三郎
桶屋の鬼吉 田崎潤
関東綱五郎 森健二
法印大五郎 田中春男
増川仙右衛門 石井一雄
森の石松 森繁久彌
張子の虎三 広沢虎造
お蝶 若山セツ子
お千 豊島美智子
お徳 隅田恵子
おきね 和田道子
おあき 三好栄子
江尻の大熊 澤村國太郎