アイドル女優・牧瀬里穂のデビュー作をあの相米慎二監督がメガホンを取った。上映当時、話題になったが大学院の修了時期で忙しくて見に行けなかった。それが何年かぶりに衛星放送で放送されるとあって、早速録画設定した。

 

キャンペーンガールのユウはスポンサー白雪にセクハラを受けて車から飛び出し、後続の車にはねられ死んでしまう。しかし広告代理店はユウ抜きでキャンペーンを続ける。一方、天国を飛び出して現世に戻ってきたユウは、マネージャー文夫のマンションに居座る。ユウに逃げられた天使コオロギは白雪そっくりだが、ユウを天国へ連れ戻そうとする。ユウは新しい人生を歩むと言って抵抗し、自活を始める。文夫はそんなユウが健気で仕方がない。最後の作戦として白雪の前に死んだはずのユウを連れて行って、事故現場の写真と交換にし、ユウを表に出してキャンペーンを続ける取引を持ちかけた。その夜、ユウは自分を取り戻せたことを感じ、コオロギと共に昇天を決意する。
バブルのド天井の頃のアイドル映画だ。バブリーなおとぎ話、いやもしかしたらバブル自体がおとぎ話かもしれない。そんな時代だからこそ、最後は結ばれない二人が愛おしい。

 

 

牧瀬里穂が一番輝いていた時代。もしかしたら大林監督よりすごいアイドル映画を相米監督は撮っていたのかもしれない。すくなくともこの映画に関しては、裸にせずに牧瀬里穂をピカピカに輝かせることに成功している。当時情熱的なファンだった私が言うのだから間違いない。あの棒読み演技が酷いという批判は当たらない。あれは相米監督の演技プランなのだから。厳しい制約の中でアイドルを描くのは、本当に難しいことなのだ。

 

監督 相米慎二
脚本 榎祐平
撮影 稲垣涌三
主題歌 井上陽水

配役
雨宮文夫 中井貴一
神谷ユウ 牧瀬里穂
コオロギ、白雪の2役 笑福亭鶴瓶
田中郁子 毬谷友子
早瀬俊夫 出門英(遺作、47歳で亡くなる8日前に封切上映)
和田毅 竹田高利

東京上空いらっしゃいませ 1990 松竹

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