山田洋次監督作品。
この人は寅さんの合間を使い、5年おきに感動的な作品を撮る。
「家族」に継ぐ、この第二作は高度成長期に故郷を捨てざるをえない人々を描く。
井川比佐志、倍賞千恵子、笠智衆主演。
渥美清前田吟も顔を揃え、山田洋次組総出演だ。
今では舞台でしか見なくなったが、弟前田吟の女房役で田島令子が出ていた。
瀬戸内海の島の話。
石を運ぶ舟を石船という。
夫が船長、妻は機関長、いつも下の娘を連れて仕事に出ている。
しかし最近エンジンの具合が悪い。
修理に出そうと棟梁のところを訪ねるが、この船はもうダメだと言われる。
夫は荒れに荒れる。
しかしやがて、船を売り尾道の造船所に働きに出る決心をする・・・
「民子、大きなもんたあ、何のことかいのう。」
「何でわしら大きなもんには勝てんのかいのう。」
ともに井川比佐志の台詞だ。
祖父が瀬戸内海の島出身だから少々わかる。
井川比佐志が石船に思い入れを持っていたというより、父祖の地を離れなければいけないことへの感傷だ。
それに個人事業者が勤め人になる気持ちもわかる。
気持ちの張りが失われる。
しかし平成大不況では誰もが井川比佐志の言葉を吐く立場になった。

故郷 1972 松竹

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