この作品は小説として非常によくできているのだが、何故か映像化されるときは明智小五郎が登場して殺人事件にされてしまうものが多い。その点、今回の映像化は原作に忠実なので明智は登場しない。満島ひかりは外交官夫人として出演している。

 

外交官夫人で閨秀(女流)作家佳子は主人を送り出してから手紙を整理していた。ほとんどは愛読者からの手紙だったが、今朝は原稿用紙を入れた封筒が混ざっていた。「奥様」と呼びかけるその原稿はある家具職人の手記で気味が悪いながらもぐいぐい読ませるものだった。

 

朗読の出来は決して悪くないのだが、いささかおパンツの映像が長くて下品に見えた。タモリ倶楽部でこの手の映像は十分見飽きているのだ。そんなものを見せるよりもラジオドラマにした方がまだ良かった。映像化する以上、予算を掛けてもう一工夫欲しかった。

 

演出:渋江修平

 

出演
佳子:満島ひかり
家具職人、朗読:中村靖日

 

江戸川乱歩短編集第2期で最も面白かったのは「黒手組」。
第1期を合わせて6作品の中では、意外な音楽で度肝を抜いた「心理試験」であった。

人間椅子 2016 江戸川乱歩短編集2 NHKBS

投稿ナビゲーション