ジェフリー・ユージェニデスのほろ苦青春小説「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」を映画化した。2000年になってからアメリカで上映された。

1975年頃、自動車産業で発展したミシガン州のある町で、妖精のような五人姉妹が次々と自ら命を絶った。それを何も出来ずただ見ていた少年たちの回想記。

フランシス・フォード・コッポラの娘で映画「ゴッドファーザーPART3」の主人公マイケルの娘メアリー役で出演していたソフィア・コッポラ監督デビュー作。

女優キルスティン・ダンストの出世作でもある。

 

あらすじ

 

五女セシリアがまず自殺した。手首を切って救急車で搬送されたが、そのときは命に別状はなくやがて家に戻った。家族が気にかけて、まだ子供だった僕らを招待してリスボン一家と快気祝いパーティーを開いた。しかし途中で抜け出した五女は二階から飛び降り柵に刺さって死んでしまった。
それ以来もリスボン家の娘たちは以前と同じ姿を見せる。しかしどこか心ここに無しという感じがする。四女ラックス(キルスティン・ダンスト)は親の目を忍んで様々な男と密通し始める。
そしてラックスは学校随一のイケメン、トリップ(ジョシュ・ハートネット、キャスリーン・ターナー)と出会う。トリップは堂々とリスボン家へ乗り込み、ラックスと付き合いたいと両親(ジェームズ・ウッズ)に宣言する。
ダンスパーティーに誘い出した夜、トリップはラックスに門限を破らせる。リスボン夫人はラックスの朝帰りに激怒して、娘四人に禁足令を出す。そしてラックスの大事していたロックのレコードを焼いてしまう。
僕らは両親の出ないときを見計らって、電話を掛けて彼女らにレコードを聞かせてやる。こうして娘たちと僕らの交流が再び始まる。
ある日、娘たちから手紙が届く。待ち合わせの場所に行くと、ラックスが一人待っていて、みんなと出かけたいので車を出してくると言って車庫に消える。僕らは彼女らの部屋に忍び込むと、娘の一人が首を吊っていた。僕らは慌てて逃げ出した。ラックスも車中で死んでいた。警察が来て娘四人の死体を発見した。

 

 

雑感

 

ベトナム戦争後の明るいようで石油ショックによる不況が続く時代、おそらくミシガンという衰退していく自動車産業の街の中で、保守的な家庭に自由奔放な娘たちが押しつぶされる様を描いたものである。
「僕らは」幼いが故に娘たちの気持ちを理解することはできなかった。そしてそれ故に彼女らの姿は一生心に刻みつけられるだろう。
五人娘のニンフのような白いワンピース姿を愛でる映画である。
どうして母親の虐待から逃げられなかったのかを尋ねているのではない。
キルスティン・ダンストは正統な美人ではないが、奔放な魅力爆発であった。気の弱い父親をジェームズ・ウッズが好演。キャスリン・ターナーはもう少し毒親ぶりを露骨に発揮してもよかったのではないかな。
ジョシュ・ハートネットのロングヘヤーはダサかった。

 

スタッフ

 

監督・脚本 ソフィア・コッポラ
製作 フランシス・フォード・コッポラ 、 ジュリー・コスタンゾ 、 ダン・ハルステッド 、 クリス・ハンリー
原作 ジェフリー・ユージェニデス
撮影 エド・ラッハマン
音楽監修 ブライアン・レイツェル
美術 ジャスナ・ステファノヴィク
エクゼクティブ・プロデューサー  ウィリー・ベアー 、 フレッド・フックス

 

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配役

 

リスボン氏  ジェームズ・ウッズ
リスボン夫人  キャスリーン・ターナー
四女ラックス  キルスティン・ダンスト
イケメンのトリップ  ジョシュ・ハートネット
長女テレサ レスリー・ヘイマン
次女メアリー A.J.クック
三女ボニー チェルシー・スウェイン
五女セシリア  ハンナ・ハル
成人後のトリップ マイケル・パレ
ハニカー医師  ダニー・デヴィート
ジェイク  ヘイデン・クリステンセン

 

 

ヴァージン・スーサイズ (The Virgin Suicides) 1999 パラマウント配給 – ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 –

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