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リヴァイアサン ポール・オースター 新潮文庫

      2017/09/13


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1992年のアメリカ現代文学作品。
男が爆死する。製作中の爆弾が誤って爆破したらしい。
「私」はその新聞記事を読んで、彼が親友の作家ベンであり、全米の自由の女神像を爆破しているテロリスト「自由の怪人」だと悟った。
何故、幸せな人生を棒に振ってまで、彼はテロリストになったのか?

 

長編だが、登場人物のこれまでのエピソードを織り込んだ、連作の短編集とも言える。
訳者は柴田元幸先生、東大の教授だ。
原作者ポール・オースタージョン・アーヴィングと並んで売れているから、その訳者である彼が東大文学部で今もっとも稼いでいる人だ。
訳は読みやすい。しかしパラグラフがやたらに長くて、日本語で2ページを超えることもざらだ。
ハードボイルドを読み慣れている身には、その点がつらい。
ポールは1947年生まれ、ベトナム世代だ。アメリカ現代文学なんか滅多に読まないので、難しいことはわからないが、この作品はベトナムに引っかかってるんだろうか?

 

この作品は現実の爆弾テロリスト、ユナボマーにインスパイアされたわけでない。ユナボマーは、1995年に声明文を発表して騒がれはじめたからだ。
しかし彼と似た爆弾魔の話が創造されたということは、実は多くの人間が爆弾テロを起こそうと潜在的に思っていたのだろう。
これは、アメリカの病巣を物語っている。実際、カリフォルニア大バークレー校の数学科助教授だったユナボマーとベンにはいくつか共通点がある。

 

小説が創造されて既に10年以上が経過した。自分たちの欲求不満をテロにぶつけていたアメリカ人が、今度は外国人に攻撃される立場になってしまった。彼らの苦悩はひたすら続く。

ライブドアから再掲示

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