チャック・パラニックの原作小説をジム・ウールスが脚色してデヴィッド・フィンチャーが映画化した名作。
平凡なアメリカ人に内在する暴力衝動が積もり積もってテロリズムになっていく様を9.11以前に描いた怪作である。
主演はエドワード・ノートン、ブラッド・ピット。共演はヘレン・ボナム・カーター

あらすじ

ジャックは保険会社に勤めるエリート・サラリーマン。不眠症に悩み、医者に診てもらうと、病気を持った人々が集まる会を紹介される。そこでマーラと出会い、電話番号を交換する。飛行機で出張中のジャックはタイラーと知り合う。出張から帰ってくると部屋は爆破されており、高級マンション全体が燃え盛っている。ジャックがタイラーの家に泊めてもらう代償に、タイラーは自分を力いっぱい殴れという。彼はマゾなのだろうか。
数日後、ジャックとタイラーは再び酒場の駐車場で殴り合う。常連の見物人が増えたので、タイラーは地下室を借りて互いに殴り合う「ファイトクラブ」を立ち上げる。またタイラーはジャックが相手にしなかったマーラを呼び出し、一晩中セックスをしている。
各地に「ファイトクラブ」の支部ができた。タイラーの盲信者となった会員たちは、彼の命令通りにテロ行為を行うようになる。タイラーはついに資本主義に対するテロを呼びかけ、金融街のビルを同時爆破する計画を立てて姿を消す。会員たちはジャックが止めても言うことを聞かず実行に移っていた。
ジャックはタイラーを探し出そうと努めるが、そのうちに米国中に散らばっている会員たちが自分と顔見知りであることに気付く。タイラーはジャックの二重人格だったのだ。
計画実行の夜に、ジャックはクレジット会社に再び現れたタイラーと対峙する。ジャックはとっさに頬を自ら銃で撃ってタイラーの存在を封じ込める。しかし時すでに遅く、ジャックは部下に連れてこられたマーラと手を繋いで、崩壊するビル群を眺めていた。

雑感

この映画のトリックは非常に有名だ。そこで最初から伏線を探したが、BDのサブリミナル効果は流石に気付かなかった。
確かに答えを知っていると、ジャックとタイラーが同一人物だと言うヒントがここあそこに散りばめられている。ブラッド・ピットはあちこちに顔を見せたし、ヘレン・ボナム・カーターエドワード・ノートンに時折見せる表情も腑に落ちる。
ジャックというのは主人公の名前ではない。彼が読んでいた本の登場人物の名前だ。だから実はタイラーが本名なのかもしれない。

この映画製作前にデヴィッド・フィンチャーは製作予算6億3千万ドルをせしめるが、アメリカでは大失敗作となりフォックス重役の首が飛んだそうだ。しかし結果的に国際的には黒字になった。それは後に起きる2001年9月11日のアメリカ同時テロの影響もあっただろう。資本主義の暴走を良しとしなかったのは、イスラム教徒だけではなかったのである。

スタッフ

監督 デヴィッド・フィンチャー
製作 アート・リンソン 、 シーアン・チャフィン 、 ロス・グレイソン・ベル
脚本 ジム・ウールス
原作 チャック・パラニック
撮影 ジェフ・クローネンウェス
音楽 ダスト・ブラザーズ

キャスト

ジャック エドワード・ノートン
タイラー ブラッド・ピット
マーラ ヘレナ・ボナム=カーター
ロバート・パールセン(ボブ) ミート・ローフ
リチャード・チャスラー ザック・レニエ
エンジェル・フェイス  ジャレッド・レト

ファイト・クラブ Fight Club 1999 リージェンシー・エンタメ製作 20世紀フォックス配給

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