全員失業中の一家が目指す高台の屋敷。
最高の就職先には誰も知らない秘密があった。

カンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、外国語映画として初めてアカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を受賞した。
監督は、ボン・ジュノ
主演は、一家を演じたソン・ガンホ、チェ・ウシク、パク・ソダム、チャン・ヘジンの4人。


 

あらすじ

韓国の貧民街には半地下にもアパートがある。キム・ギテクが妻のチュンスク、息子のギウ、娘のギジョンと暮らしているが、親がともに失業中で子はどちらも浪人中だ。
ミニョクはギウの親友だが、突然キム家を訪れ、立派な置物を一家にプレゼントする。ミニョクはIT企業社長パク家の娘ダヘ(高校生)と将来付き合うつもりと明かし、ギウに「自分が海外留学している間、彼女の家庭教師をやってくれ」と頼み込む。

ギウは、妹ギジョンに大学在籍証明書を偽造させて、高級住宅街にあるパク家のお屋敷で家庭教師として働く。
パク家は、社長ドンイク、妻ヨンギョ、娘ダヘ(高校生)、息子ダソン(小学生)の4人家族である。妻は何かにつけ英単語を使いたがる性格だ。ギウは、ヨンギョが息子ダソンの絵画教師を求めていることを知る。そこで美大を浪人している妹ギジョンを「アメリカで学んだ芸術療法士」という触れ込みで、ヨンギョに採用してもらう。
パク家の主人ドンイクは運転手にギジョンを家まで送るよう命じた。ギジョンは一計を案じ、自分のパンツを車のシートに押し込み、最寄りの駅前で降りた。ドンイクは、運転手が車内でセックスをしたと考え、解雇する。
ギジョンは、父ギテクを知り合いの運転手として紹介する。ヨンギョの信任厚いギテクはパク家の運転手として雇われる。
パク家が住む前からこの家に仕えている家政婦ムングァンが桃アレルギーだと知り、桃の毛を振り掛けてアレルギー発作を起こさせる。ギテクはヨンギョに、ムングァンが結核と診断されていたという嘘を吐いた。ヨンギョは、ムングァンがアレルギーで咳込む様子を見て、結核と思い込み解雇する。ギテクは架空の高級人材派遣会社を紹介し、妻チュンスクを家政婦として雇用させる。
こうしてキム一家は身元を偽りながら一家揃って、パク家に寄生して生きていくようになった。

ダソンの誕生日にパク家は留守を新家政婦チュンスクに任せてキャンプへ出発する。キム家4人はパク家に入り込み、我が家のように振る舞い、屋敷に備え付けられた酒を次々とたらふく飲んだ。

激しい雷雨の中、解雇された元家政婦ムングァンが訪ねてきた。チュンスンが応対すると、ムングァンは地下に忘れ物があると言って無理に入り込んだ。家の下には主人すら知らない秘密の地下室があった。そこにムングァンの夫グンセが暮らしているではないか。

屋敷の前の持ち主が、北朝鮮からの核攻撃に備えるために地下シェルタを用意していたのだが、ムングァンはそのことをパク家に内密にしていた。そして借金取りに追われる夫グンセが隠れるために密かに地下室で暮らしていた。
ムングァンは、警察に告発するというチュンスクに懇願するが、盗み聞きしていたギウ、ギジョンが階段から足を滑らせてムングァンの前に現れる。
ムングァンはチュンスクら4人が家族であることに気づき、パク社長にバラすと脅す。そこへヨンギョから電話があり、キャンプは大雨で中止になったので帰宅するところだと伝える。キム一家はグンセとムングァンを縛り付けて地下室に閉じ込める。

パク一家が屋敷に帰宅するが、ダソンは不本意だったらしく、庭にテントを張って一晩過ごした。
グンセとムングァンが、いつ出てくるかわからない状況でギテクは、息子と娘にある“計画”があることを一家に話し、夜中に屋敷から逃げ出す。
半地下アパートは大雨による洪水で水没していた。三人は近くの避難所で夜を明かす。ギテクは、ギウとギジョンに「計画は無計画でなければいけない。計画があれば予定外のことが起こる。無計画なら予定外もない」と語った・・・。

雑感

前半だけなら、若い頃の大島渚が貧民窟を描く映画のようだった。
でもこの映画は、貧乏人にも下には下がいて2つの家族で殺し合いになってしまう。
しかし最後は、金持ちに罪をなすりつけて殺してしまう。
この滅茶苦茶さが、この映画の見どころ(エンターテインメント性)であり、監督の狙い(格差社会)なのだろう。
だから格差社会大好きのカンヌ国際映画祭グランプリとエンタメ大好きのアカデミー作品賞を同時受賞できたのだ。

ギテクの家庭は、日本にもありそうだ。決して頭が悪いわけではない。要領が悪くて、会社をクビになり、分不相応のローンが払えず追い出されて、貧民窟に流れ着いたのだ。
しかし映画になると、家族で万引きするところで満足してしまう。
より多くの人を呼び込む映画のエンタメが抜けている。

まだまだ韓国映画の影など踏めないね。

スタッフ

監督  ポン・ジュノ
脚本  ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
製作  クァク・シネ、ムン・ヤングォン、ポン・ジュノ、チャン・ヨンファン
音楽  チョン・ジェイル

キャスト

父キム・ギテク  ソン・ガンホ
息子キム・ギウ  チェ・ウシク
娘キム・ギジョン  パク・ソダム  
妻チュンスク  チャン・ヘジン
社長パク・ドンイク  イ・ソンギュン
社長の妻ヨンギョ  チョ・ヨジョン   
家政婦ムン・グワン  イ・ジョンウン
家政婦の夫オ・グンセ  パク・ミョンフン

ネタばれ

翌日、ダソンの誕生日パーティーを自宅で開くことになり、ギウとギジョンも招待される。ギテクも風呂に入れないまま休日出勤して出し物のお手伝いをさせられる。
ギウは、ミニョクにもらった置物を持って行った。地下室のグンセとムングァンを殴り殺そうと思っていたのだ。ムングァンは既に死んでいた代わりに、縄を抜けていたグンセにギウは捕まる。さらにギウは、グンセに置物で頭を殴られ気を失う。
庭に出てきたグンセは、パーティー会場にいたギジョンの胸を包丁で刺す。ギジョンを助けようとするギテクは、ドンイクから車の鍵をよこせと言われ、慌てて探す。
チュンスクは、グンセの隙を見てバーベキューの串でグンセを刺し殺す。この期に及んでギテクやグンセの匂いを嫌がるドンイク顔を見たギテクは、金持ちに対する憎悪が湧き上がり、衝動的にドンイクを殺してしまい、そのまま逃亡した。

数週間後、ギウは母チュンスクと文書偽造と住居侵入罪で執行猶予付きの有罪判決を受けた。ギテクは、依然として逃げていたが、ギジョンは既に死亡していた。パク家は屋敷を手放し、この地を去った。
ある日、ギウは山から旧パク家を見下ろしていた。すると、家の灯りが点滅していることに気付く。調べるとモールス信号だった。父ギテクからギウに向けたメッセージだったのだ。
父ギテクは、誰も知らなくなった屋敷の地下室に潜んでおり、豪邸の持ち主であるドイツ人から食べ物を盗んで生き伸びていた。
ギウは、いつか必ずこの豪邸を買い取ってギテクを助け出す決意をする。

 

 

 

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