終戦間もなくのユーゴスラビアが舞台。その頃はどの国も体制が揺れていた。

最初からパパは浮気相手アンキッツァと列車に乗っていて政治体制に悪態を付き、不穏な空気が流れる。家に帰るとパパは家族(ママ、兄、僕)にとって優しい。しかし友人の父が強制収容所に入れられたという情報がさりげなく語られている。
ある日、地元で女性グライダー初搭乗の式典が行われ(その女性は、実はパパの愛人)、行政幹部である母方の伯父さんもやって来た。 そこでパパが政府批判したことを役人の前で女性が漏らしてしまったから、さあ大変。

翌日に息子の割礼を冷えた日、パパがサッカーの代表戦をラジオ観戦していたら、義兄から電話があり呼び出される。早速出頭すると、逮捕を申し渡される。割礼後、パパは長い出張に旅立つ行き先も告げずに。

 

やがて僕の家庭は暗くなり、僕も情緒不安定から夢遊病にかかってしまう。ママは伯父さんのところへ出向き、夫から手紙が来ないことを訴える。伯父さんはもう来るなと言って、母から夫の着替えを受け取る。
そんなとき、兵隊に行っていた叔父が帰ってくる。叔父の尽力でパパの手紙が手に入る。居場所はわかったので、僕とママは早速会いに行ってくる。その夜夫婦のお楽しみの最中に僕は悪戯っ気を出して呼び鈴を鳴らす。僕を寝かしつけているうちにパパも一緒に寝ちゃった。その様子を見ていてママは泣けて仕方がない。
ママはサラエボに帰ってくると、愛人だった体育教師に喧嘩をふっかけに行った。
(中間点)

【ズヴォルニク県への引っ越し
パパが水力発電所建設現場に異動になった。ママ、兄、僕はパパの仕事場のそばに引っ越す。転入した先にも学校があり、僕にはGFマーシャが出来る。パパはいつもの病気が出て、女をベッドに連れ込んでいるうちに僕にも夢遊病が出た。朝になってマリクがいないと大騒ぎになるが、僕は山頂近くで空を眺めていたのだ。家に帰ると夫婦喧嘩だ。でも格闘に僕が割り込むと3人で抱き合って寝るんだ。その夜起きたらマーシャの所にいた。夜中にまた病気が出たらしい。お陰で一緒に朝風呂に入れた。
僕は成績は良くて知事への宣誓文を発表する。その名誉が讃えられてパパはサラエボに帰ることができる。しかしマーシャの体調は悪化して大きな病院へ移って行った。翌日マーシャ・パパは黒い腕帯をしていた。

 

サラエボに帰ってきて叔父の結婚式が開かれる。そこにはパパの復讐のため、伯父と同棲しているアンキッツァも呼んでいる。伯父は自責の念で酔いつぶれてしまった。その間に僕はアンキッツァにパパが詰問しながら犯すのを見てしまった。ユーゴスラビアがソ連に勝って優勝した歓声を聴きながら、祖父は兄にしか打ち明けず老人ホームに去って行った 。

そもそも悪いのはパパだ。自分が口を滑らせたのだから。これが身内が間に入ってなければ、重罪になっている。ところが義兄が間に入っているからややこしくなった。普段だったら義兄がもみ消すはずなのだが、その義兄がパパの愛人に気があったお陰で、パパは島送りになってしまう。
しかしその後、共産党よりチトー大統領の方が力を持ったようだ。ズヴォルニクでパパが許されたというのは、それがポイントになったのでは?義兄の方は組織内での立場がなくなったようだ。
そして最後は復讐劇。イタリアン・マフィアやスラブは根に持つから、そう簡単に許さない。元愛人をレイプしてポイ捨て。
その様子を薄々感じていたのが祖父と母、特に祖父は家族がバラバラになったことに気づき、家を出てしまう。
最初に言った通り、一番悪いのはパパなのだが、家族はパパに引っ掻き回された。

イヴァノビッチの名曲「ドナウ川のさざなみ」がたびたびかかる。暗い曲調から連想される通り、暗い場面に主に掛かる。

パパは、出張中 1985 ユーゴスラビア

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