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上映当時にアメリカの女性の間で大流行していた「読書会」のメンバーに起きる様々な人間模様を描いた群像劇、女性文芸映画。
日本で読書会と言えば大学生が難しい本を読んで解説し合う会を思い出すが、アメリカではそうでないようだ。
18世紀末から19世紀初頭に活躍した英国の女流大作家ジェイン・オースティンの長編小説を読む読書会を描いている。
カレン・ジョイ・ファウラーの原作をロビン・スウィコード(女性)が脚色し、自ら監督している。
主演はキャシー・ベイカー、エミリー・ブラント、マリア・ベロ、エイミー・ブレネマン、ヒュー・ダンシー。
国内配給はソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント。
雑感
本を読んで感想を語り合うだけで幸せになれる。
壁にぶつかっている中年がジェーン・オースティンの小説を読むと、停まっていた人生をまた動き始める。
この読書会では、オースティンがその生涯において書いた長編6篇を全員毎月一冊読んでおき、感想を述べ合う。大学の文系ゼミには昔からこのタイプの会が多い。
バーナデットの策略なのか、メンバー自身がその担当する作品の「主要登場人物」のような立場にいた。
そして、作品を読み進めて自分の生きる道を見つけていく。バーナデットは、指示を全くしない。本を読ませるだけだ。
プルーディ役のエミリー・ブラントが主役扱いになっている映画紹介があるが、あくまで群像劇でありジョスリン役(マリア・ペロ)の方が目立っていた。エミリー・ブラントはより難しい役を割り当てられたと思う。
キャスト
バーナデット(6回の結婚歴がある。読書会のリーダー) – キャシー・ベイカー
ジョスリン (独身主義のドッグ・ブリーダー)- マリア・ベロ
プルーディー(既婚の仏語教師) – エミリー・ブラント
シルヴィア(司書) – エイミー・ブレネマン
アレグラ(シルビアの娘、レズビアン) – マギー・グレイス
グリッグ(会唯一の男性) – ヒュー・ダンシー
トレイ: プルーディーを誘惑する学生 – ケヴィン・ゼガーズ
ダニエル: シルヴィアの別れた夫で、アレグラの父親 – ジミー・スミッツ
ママ・スカイ: プルーディーの母親 – リン・レッドグレイヴ
ディーン: プルーディーの夫 – マーク・ブルカス
サマンサ: アレグラの入院がもとで交際する女医・イェップ – グウェンドリン・ヨー
スタッフ
監督・脚本:ロビン・スウィコード
製作:ジョン・コーリー、ジュリー・リン、ダイアナ・ナッパー
製作総指揮:マーシャル・ローズ
撮影:ジョン・トゥーン
音楽:アーロン・ジグマン
原作:カレン・ジョイ・ファウラー
ストーリー
愛犬を失ったドッグ・ブリーダーのジョスリンを慰めるため、友人バーナデットは「ジェイン・オースティンの読書会」を企画した。何度も結婚と離婚を繰り返してきたバーナデットは、ジェイン・オースティンの古い小説に既に現代女性の持つあらゆる問題が描かれていると考えた。
メンバーはバーナデット(7回の結婚歴がある) 、ジョスリン (独身主義のドッグ・ブリーダー)、プルーディー(既婚の仏語教師)、シルヴィア(夫に捨てられた図書館司書)、アレグラ(シルビアの娘でレズビアン)という女性5人にグリッグと言うSFオタクの男性1人と決まった。毎月一度、作品と担当者を決め、持ち回りで読書会を開くことにする・・・。
2月の会は「エマ」であり、担当者はジョスリンである。そのジョスリンは、夫と離婚することになったシルヴィアに会わせよう、とSFオタクのグリッグ氏を読書会に招いた。「エマ」は、エマという女性が友人とウェストン氏の愛のキューピッドになろうとして、逆にウェストン氏を愛してしまう話だ。
読書会の後、アレグラはスカイダイビングに挑戦して怪我をするが、そのとき付き添ってくれた黒人女性コリンと同性愛関係に落ちる。
3月の読書会は、シルヴィア担当の大作「マンスフィールド・パーク」である。ヒッピー出身だがヒッピーを毛嫌いするプルーディーと、ヒッピー文化が大好きなアレグラの関係がギクシャクする。
その後グリッグは、ジョスリンと古書店でバッタリ出会う。会話のうちにジョスリンはグレッグの好意が向けられていることに気付く。
アレグラは、コリンに秘密の話として、小学生の時の思い出を語る。彼女の同級生に知能障害を持つ少年ベニーがいた。ある日、彼は学校で自分のペニスを握って立っていた。アレグラは、思わず逃げ出して父にその事件を語った。ところが、ベニーに知的障害があると言わなかったため、父は恥をかく。
シルヴィアの家に前夫が突然訪れ、芝刈り機を持ち出して庭の芝を狩り出す。前妻の生活が荒れているため、心配になったのだ。シルヴィアは、もう来ないでと言い放つ。
4月の読書会は、グリッグ担当の中編「ノーサンガー・アビー」だ。グリッグは「アビー(僧院)」をイメージした雰囲気に部屋を飾り付ける。メンバーは、怖がったり喜んだり。しかしプルーディの夫から連絡が入る。プルーディーは、ヒッピーだった母親と疎遠だったが、この日母親が交通事故で亡くなり、読書会を急遽欠席する。
その後、アレグラが内緒話として話したものを恋人コリンは、盗作して雑誌に投稿していた。アレグラはそれを許せず、別れを告げた。またグリッグとシルヴィアがランチデートを楽しんでいたことをバーナデットからジョスリンは聞かされ、嫉妬に苦しむ。
5月の読書会は、バーナデット担当の「高慢と偏見」である。いわゆるツンデレの話だ。プルーディーは、実母を失ったばかりで夫が心配だと言ってついてきた。ジョスリンとグリックは、ガス欠で遅刻した。グリックは、食後のダンスの相手として、ジョスリンを指名した。
アレグラは、フリー・クライミング中に転落してしまう。そこで、彼女の病室で次の読書会を行う。
6月の読書会は、アレグラ担当の「分別と多感」。ジョスリンがこの小説の主題を分別と捉えるのに、グリッグは作者の孤独だと主張した。
7月に海岸で最後の読書会が開かれる。テーマは、ブルーディ担当の「説得」である。
ところが、プルーディは趣味の合わない夫と疎遠になり、家庭内離婚状態。さらに学生からの誘惑を受けて悩んでいた。
彼女は読書会に行くと言って、実は学生とデートしようか迷っていた。しかし、「ここでジェイン・オースティンならどうする」という疑問が湧き、急遽家に引き返して夫との関係を修復したいとはっきり宣言し、夫に本のあらすじ(それがプルーディの本心)を語り始める。
アレグラも彼女を診てくれた女医と付き合っていた。母シルヴィアは、読書会にプルーディの代わりに参加した元夫とヨリを戻す。そして、翌朝グリッグもジョスリンと結ばれた。
メンバー全員が、1年後ふたたび集う。バーナデットは、7回目の結婚をした。みんなも幸せそうだ。