(◎☆)仕事中の事故で亡くなった森林消防隊員が、恋人を見守り続けるファンタジー映画
1943年のMGM映画「ジョーという名の男」(日本未公開)のリメイク版。

製作・監督はスティーヴン・スピルバーグ、共同製作はフランク・マーシャルとキャスリーン・ケネディ。
オリジナルは、チャンドラー・スプレイグ、デイヴィッド・ボームの原案をダルトン・トランボが脚本化(それをフレデリック・ハズリット・ブレナンが脚色)したものだった。今回は、さらにそれをジェリー・ベルソンが脚色した。

主演はリチャード・ドレイファス、ホリー・ハンター
共演はジョン・グッドマン、ブラッド・ジョンソン、オードリー・ヘップバーン

 

あらすじ

出動中の事故で死んだピート隊員の心残りは、恋人ドリンダのことだった。成仏できない彼に天使ハップは、消防隊員の卵のそばにいて「霊感」を与えてほしいと頼む。
ピートは、親友アルが所長をしている養成学校の新入生テッドの横にいて心の内で語りかけてアドバイスを与える。一方、恋人の死から立ち直れないドリンダの姿を見たアルは、気分転換を兼ねて養成学校に連れて来る。テッドは、以前一度だけ会ったドリンダのことを好きだったので、フリーになった彼女を見て俄然ハッスルする。ドリンダは、次第に彼に好意を持つが、そんな自分に戸惑う。

それは、ピートが恋人と弟子の板挟みに悩んでいるせいだった。ハップはピートに、死んだ魂は愛する人に別れを告げるとき、お互いに自由になることができる、と教える・・・。

 

雑感

スティーブン・スピルバーグについては、商売上手の面が先立って映画の内容に入っていけないことがある。しかし、オードリー・ヘップバーンの遺作であれば別だ。
彼はこの企画を長年温めてきた。と言うのも、戦時中に名優スペンサー・トレイシーが演じたピート役を、リチャード・ドレイファスが違和感無く演ずることができるようになるまで待ったのだ。

世紀の美女アイリーン・ダンが演じたドリンダ役は、ホリー・ハンターが演じていた。31歳の彼女は、いとも簡単に45歳でアイリーン・ダンが演じた役柄をこなしていた。そして4年後のニュージーランド映画「ピアノ・レッスン」でアカデミー賞主演女優賞を受賞した。

オードリー・ヘップバーンは、オリジナルでライオネル・バリモアが演じた「将軍」に当たる役を男女入れ替えて演じた。誰だってオードリーが気さくに話しかけてくれたら、ここは天国ではないかと思う。そう言う場面にいかにも天使として登場して、成仏できないピートを地上に一度返して、生前にやるべきだったことを思い出させる重要な役だ。「まじ天使」と思われる60歳女性が他にどこにいる?彼女も4年後に癌で亡くなった。

映画自体の時代設定がよくわからなかったが、日本とは比べ物にならないほど森林火災の多いアメリカの森林消防隊員は、街中のファイアマンより二次災害の危険性が高いと感じた。神経の細い人間では、森林火災の中で低空飛行をしてピンポイントで消化液を標的にかける事などできるわけがないと感じた。
再度リメイクされた時は、配役は大変だろうと思う。

 

スタッフ

監督、製作  スティーヴン・スピルバーグ
製作  フランク・マーシャル
製作  キャスリーン・ケネディ
脚本  ジェリー・ベルソン
原作脚本  ダルトン・トランボ
原作脚色  フレデリック・ハズリット・ブレナン
原案  チャンドラー・スプレイグ、デイヴィッド・ボーム
撮影  ミカエル・サロモン
音楽  ジョン・ウィリアムズ
主題歌 「煙が目にしみる

キャスト

ピート・サンディッチ  リチャード・ドレイファス
ドリンダ・ダーストン  ホリー・ハンター
テッド・ベイカー  ブラッド・ジョンソン
アル・ヤッキー  ジョン・グッドマン
ハップ  オードリー・ヘップバーン
デイヴ  ロバーツ・ブロッサム
パワーハウス  キース・デイヴィッド

***

テッドは、メキメキ上達して現場に研修で派遣された。そこに、山火事が発生する。出動要請を受けたテッドを見たドリンダは、アルが止めるのも聞かず、テッドが乗るはずだったプロペラ機に乗り込み出発してしまう。
彼女のミッションは、猛火に囲まれた六人の森林消防隊員のために川に繋がる道の火災を消すことだ。ピートが半分に乗り移った状態になったドリンダは、危険な低空飛行を重ねて、やっと消火を終える。消防隊員たちも無事、避難する。ホッとしたのも束の間、ドリンダの飛行機はガス欠になってしまう。しかし、彼女はピートの言う通り、川に不時着して助かる。
このときピートは、ドリンダに初めて愛を告白し、ついに成仏することができた。彼女も、きっとテッドとの愛を実らせるだろう。

オールウェイズ Always (1989) ユニバーサル+ユナイト+アンブリン製作 ユニバーサル配給 UIP国内配給(1990) オードリー・ヘップバーンの遺作

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