同名原作小説をもとに、飼い猫を同乗させるタクシーを描いた亀井亨監督による映画。キャッチコピーは「やっかいなこともあるけれど、それでも人生はステキです」。
登場人物・設定はテレビドラマ版に基づくが、ストーリーは大きく異なる。

主演のカンニング竹山は気弱で優しい中年男を演じた。共演は鶴田真由

 

あらすじ

間瀬垣勤は、中学校で英語を教えていたが、人付き合いが苦手でタクシー運転手に転職した。方向音痴の勤は客にも憐れまれる。売上は最下位で教師をする妻の稼ぎで生活している。娘はそんな勤をバカにする。

勤の前に三毛猫が現れた。その猫はタクシーの中まで入ってきた。その時乗ってきた客の喧嘩を猫が丸く収めてしまう。大したものだと思い、「御子神」という首輪がついた三毛猫を元の公園で放してやった。
老婦人が乗車してきた。行き先で勤が目を離した隙に、釣り銭をちょろまかして姿を消してしまう。
勤は、そのことを同僚の丹羽仁美に相談した。仁美は釣り銭詐欺の手口からその婦人を猫ババアと呼ばれる悪質客であることを知っていた。
勤は猫ババアの家に踏み込む。そこは老人の独居家庭で、猫が多頭飼育されていて、御子猫さんの姿もあった。年金だけでは餌代が払えないと開き直るスミエに対して、勤は御子神とそばにいたコムギという子猫を引き取りたいと言った。スミエはそれを了解し、詐欺について反省の弁を述べた。
家に猫を連れ帰ると、マンションは動物禁止だと言って妻は反対するも、珍しく娘が味方についてくれて多数決で、二匹を飼うことになる。

勤は、大人しい御子神をタクシーに乗せて仕事をするようになる。勤のタクシーは、猫好きの客から喜ばれるようになる。演歌歌手炎悟はブログに猫タクシーのことを載せる。
ある日勤が出勤すると、雑誌に猫タクシーが取り上げられていた。そこに掲載されていたのは丹羽仁美だった。彼女は勤の手法を真似て営業成績を上げようとしていた。それを見た保健所の宗方がやってくる。運転手が猫をタクシーに乗せるためには動物取扱責任者の資格を取る義務があったのだ。資格取得は、一年間の通信教育を受けたうえで、試験を受ける必要がある。

仁美はタクシー会社を辞めてしまう。勤も先輩の沼尻に諭され、ネコをタクシーに乗せるのを辞める。
ある日、勤のタクシーに盲導犬を連れた目の不自由な少女が乗車する。勤は猫タクシーの経験を話して聞かせると、彼女は勤を励ます。
そこで勤は猫タクシーをもう一度やってみようと思う。まず動物取扱責任者の資格を取る必要があり、40過ぎて勤は一年間通信教育に取り組んだ。一年後の試験で勤は見事に一発合格する。最後まで猫タクシーに反対していた保健所の宗方は母親と、勤の運転する猫タクシーに乗り御子神さんの姿を見て気持ちを改める。

すでに15歳だった御子神さんはある日、公園の陽だまりの中で天に召された。一匹残されたコムギの処遇について、猫ババアに相談に行くが、コムギも環境に適応して変わらなければいけないと聞かされ、勤はハッとする。自分も変わらなければいけないのではないかと思い、勤はタクシー運転手を辞職し英語教師として復職した。

雑感

感動的な映画でなく、猫の姿を見て我がふりを直せという話だ。やや長く感じた。カンニング竹山の優柔不適な演技にもイラッとさせられた。あんな男と鶴田真由が結婚するわけがない。

一年間、動物取扱責任者の資格を取るための勉強をしているうちに、勤は学ぶ習慣を取り戻した。そのおかげで、残されたコムギにだけ苦労をかけまいとしてモチベを取り戻し、英語教師にも復職できたというわけだろう。でも復職 する時間があれば、コムギと遊んでやった方が良いのではないか。

それなりによくできている映画だが、御子神さんのような老人猫でなければ成り立たない話ではないか。首輪をつけておかないと、逃げることもあるだろう。犬ではないから猫の首輪は炎上しそうだ。猫カフェの移動版を狙っているのだが、猫は気まぐれだから誰にも心を許すわけではない。猫好きを自覚する人ほど、猫は暑苦しくて嫌がるものだ。

でもこの十年間でペット・タクシーは一般的になったことは確かだ。

スタッフ

原作 – 永森裕二(『ねこタクシー』竹書房刊)
監督 – 亀井亨
脚本 – 永森裕二、イケタニマサオ
製作総指揮 – 吉田尚剛
音楽 – 野中”まさ”雄一
主題歌 – 水木一郎「ソラノワダチ」

キャスト

御子神さん – みーすけ
間瀬垣 勤 – カンニング竹山
妻間瀬垣 – 鶴田真由
娘瑠璃 – 山下リオ
同僚丹羽 仁美 – 芦名星
猫婆松本 スミエ – 室井滋
保健所役人宗形- 内藤剛志
支店長真泉 – 高橋長英
同僚沼尻 – 甲本雅裕
演歌歌手炎悟 – 水木一郎
乗客菅沼 – 塚本高史
飯島夫人 – 根岸季衣
宗方の母セキ – 草村礼子
DJ・みちる(声のみ) – 加藤英美里

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねこタクシー 2010 日本テレビ・テレビ東京・独立U局等製作委員会 AMGエンタメ配給

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