(☆)今回は1940年、第二次世界大戦ナチス・ドイツ空爆を行われ、人々が窮乏していたロンドンが舞台。
空襲警報のため、アガサ・クリスティら数人が密室に閉じ込められ、そこで連続殺人事件が起きる。
トム・ダルトンの脚本をジョー・ステイーブンソンが監督した。
撮影はブライト・ディールケン

今回の主演クリスティ役はヘレン・バクセンデイル
共演はブレイク・ハリソン、ジョディー・マクニー、トーマス・チャンヒング、モーガン・ワトキンズ、エリザベス・タン、ダニエル・カルタジロ

雑感

今回は全二作と異なり、アガサ・クリスティの舞台劇のような閉鎖空間を選んでいる。密室の中で次々と人が死んでいくサスペンスを描いたミステリ映画。
アガサの関係者が殺されることからどうやら、殺人者の目的はアガサが持つ生原稿と譲渡契約書らしい。

特に戦時の貧困のためか、アガサのキャラが前二作と比較して大きく変わっていた。特に前半部分を見ていて以前の大胆さが消えて、用心深くなったと思った。
トラヴィスも第一作から交代している。

モデルになった原稿とは、戦時中に書かれて封印され死の直前に公開された遺作「カーテン」だろうか。
最後の決着の付け方が似ている。

キャスト

ヘレン・バクセンデイル  アガサ・クリスティ
ブレイク・ハリソン トラヴィス・ピックフォード
ジョディー・マクニー  オハナワ婦警
トーマス・チャンヒング  中国系富豪フランキー・レイ
モーガン・ワトキンズ  用心棒ロッコ
エリザベス・タン  ジュン・ユンフアン
ダニエル・カルタジローン  イーライ・シュナイダー
アリスター・ペトリ  マルコム・キャンベル卿
ジーナ・ブラムヒル  グレイス・二コリー
ジャクリーン・ボーツウェイン  オードリー・エヴァンス
バネッサ・グラース  ネル・ルイス
スコット・チェンバーズ  クラレンス・アレン

 

スタッフ

脚本  トム・ダルトン
監督  ジョー・スティーヴンソン
撮影  ブライト・ディールケン

ストーリー

1940年、ロンドンは毎日ナチスドイツに夜間空爆されていた。

英国の税務署からアメリカでの印税の所得税徴収を求められ、破産寸前に追い込まれた推理作家アガサ・クリスティは、マカオの富豪フランキー・レイに2万ポンドで「ポワロ」の生原稿を売る決意をする。
アガサは念のため、14年前に「アガサと殺人の真相」事件で知り合ったトラヴィス・ピックフォードを用心棒として雇い、夜のホテルへ向かった。
アガサら2人の前に現れたのは、フランキーと用心棒ロッコ・ヴェラ、通訳ジュン・ユーファンだった。
アガサがフランキーに生原稿を渡そうとしたとき、空襲警報が鳴り始める。
ホテルに駆けつけた婦警オハナワは、アガサらとラウンジにいたホテルの客に防空壕に入るように命じた。避難したのは、12人だ。

アガサら五人に加え、元軍人のマルコム・キャンベル卿と彼の愛人グレース、ボーイのクラレンスとオハナワ巡査、旅行者オードリー・エバンスとネル。イタリア人のスキアッチターノだ。

そのとき、トラヴィスが、少し目を離した隙に預かっていた原稿が盗まれてしまったのです。オハナウアー巡査に協力を要請したアガサは、皆がシェルターに留まっている間に、原稿を探す。アガサはフランキーに事件が起きたことを伝える。ロッコに犯人探しを任せると、彼が疑ったスキアッチターノと喧嘩になる。ロッコを抑えようとしたクラレンスは、反撃をくらい亡くなる。
そのとき、フランキーが、何者かに毒殺されてしまう。アガサがフランキーの上着を調べたが、生原稿の代金2万ポンドは消えていた。この契約を真犯人は知っているのだ。
そこでアガサは、譲渡証明書がない限り、原稿に市場価値は無いと告げて、自分が囮になる・・・。

オハナワ巡査は、皆の所持品検査を行う。エリの鞄を調べた結果、アガサの原稿が見つかった。アガサは原稿を取り戻して帰ろうとするが、オハナワ巡査は拳銃を持ち出して、「事件が未解決だから私に従いなさい」と言う。
アガサが生原稿をよく見ると、英語で脅迫文が書かれていた。そのとき、スキアッチターノはナイフで刺されて殺されていた。そのナイフは、所持品検査時にオハナワ巡査が、エリから取り上げた証拠品だった。
外部犯行説を考えた面々は二手に分かれて犯人捜索を開始した。

そのとき、グレースの悲鳴が聞こえる。通訳のジュンが殺されていた。その側に倒れているトラヴィスと頭に傷を負ったオハナワ巡査がいた。

アガサはオハナワ巡査を容疑者と考えて、ネルを同行して原稿を餌にホテルのラウンジに呼び寄せる。
アガサに嵌められたことを知ったオハナワ巡査は、「私は人を殺した」と自供し、銃を発砲する。
そんな彼女を隠れていたトラヴィスが射殺した。

空襲は終わり、キャンベル卿とグレースがホテルから立ち去った後、オードリーとネルがアガサを呼び止めた。彼女らは、英国情報機関のスパイだった。

オードリーらも去り、ラウンジでトラヴィスと2人になった。
アガサは彼に、2万ポンドを持っているのでしょうと尋ねる。トラヴィスは、正直に2万ポンドを差し出す
アガサは、お礼に生原稿をトラヴィスに譲渡することにした。

アガサとトラヴィスは、お酒を飲むことにした。しかしアガサは、お酒に口をつけない。トラヴィスが毒を入れたから。
トラヴィスは、オハナワ巡査を巻き込み、フランキーたちを殺害したのだ。空襲もレコードの音だったのだ。
アガサは残っていたロッコに、2万ポンドを渡し、生原稿を持ってホテルを後にした。

アガサと深夜の殺人者 2020 ダーロウ・スミスソン・プロ製作 – 名探偵アガサ・シリーズ第三弾

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