せっかく令和になったんだから、たまには平成になってからの映画も思い出しておきます。
この作品は、原作が「ドロレス・クレイボーン」(スティーブン・キング)。キングらしからぬ母娘葛藤ものだ。彼の作品はノン・ホラーあるいはノン・ファンタジーだと映画化しても当たりになる確率が高くなる。
主演はキャシー・ベイツ(キングは彼女のために書き下ろしたという話だ)と、90年ぐらいから次々と注目作に登場したジェニファー・ジェイソン・リー。原作だと母の一人称の物語なのだが、映画で原作を忠実に描くとコケると判断して、母と娘を対等にしたと思われる。それだけにジェニファー級の演技派を充てなければならなかった。

 

あらすじ

 

ニューヨークで敏腕ジャーナリストとして活躍するセリーナ(J・J・リー)に、故郷であるメイン州から匿名の電話が掛かってくる。長年母(キャシー・ベイツ)が介護していた裕福な未亡人を殺害した容疑を掛けられていると言う。以前父を母が殺したと疑われたことがあった。
実家に帰ると、20年前父が死んだ事件を担当した刑事(クリストファー・プラマー)と再会する。定年間際の彼は今度こそ母を捕まえてみせると息巻いた。実はセリーナ自身も母がやったのではないかと疑っていた。

やがて彼女は真実を語り始める・・・。夫は娘に性的悪戯をしたというのだ。それを雇い主だったヴェラに相談したら、彼女が知恵を付けてくれたのだ。しかし悪戯されたことを全くセリーナは覚えていない。

雑感

 

これはミステリサスペンス扱いされているが、そうでない。母娘の和解の物語だ。映画の真ん中あたりで少しずつ父と母の関係について明らかにされるが、はっきり自白を聞かされるのはラストに掛かったあたり。それまでは母ベイツの独擅場だったが、ありがちな話だなと気を抜いていると、そこから娘ジェニファーによる大逆転劇が始まる。
回想シーンを基にしたミステリ小説もどきやミステリ映画もどきが日本でも作られるが、この映画はオーラスの描き方で宮部みゆきや東野圭吾より一枚上を行っている。なかなか日本の人気作家じゃ、思いつかないのかな。あるいは脚本家が原作を再構成することに抵抗があるのか。
監督はテイラー・ハックフォード(「愛と青春の旅立ち」など、奥さんはヘレン・ミレン)、脚本はトニー・ギルロイ(「フィクサー」の監督脚本)、共演はフォン・トラップ大佐ことクリストファー・プラマー、ジョン・C・ライリーなど演技派しか出ません。
とくに被害者ジュディ・パーフィットのカッコいい助演が光る。
DV と老人介護を同時に正面から捉えた作品で、スカッとさせる作品は当時まだ珍しかった。

スタッフ・キャスト

 

監督 テイラー・バックフォード
原作 スティーブン・キング
脚本 トニー・ギルロイ
音楽 ダニー・エルフマン

配役
ドロレス キャシー・ベイツ
セリナ ジェニファー・ジェイソン・リー
ヴェラ ジュディ・パーフィット
マッケイ警部 クリストファー・プラマー

 

 

 

黙秘 Dolores Claiborne 1995 コロンビア (東宝東和国内配給) スティーブン・キング原作ミステリー

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