シャーロック・ホームズワトソン医師はダートムアのモーティマー医師の依頼を受け、荘園の若き相続人ヘンリーを付け狙う伝説の魔犬を調査する。
アーサー・コナン・ドイルの有名な怪奇小説「バスカヴィルの魔犬」は当時ドイツや英国で何度も映画化されていたが、アメリカでは初の映画化である。
監督はシドニー・ランフィールド
主演はリチャード・グリーンとホームズ役初めてのベイジル・ラズボーン。白黒スタンダード映像。

 

 

あらすじ

1889年、デボンシャー州ダートムアの荒野に住むチャールズ・バスカヴィル卿が心臓麻痺で急死した。甥のヘンリーが相続人としてカナダから英国に呼び寄せられた。モーティマー医師は、それ以前にホームズにチャールズの不審死について相談する。実は1650年ごろ、先祖ヒューゴが娘を追っていたが、野犬によって殺されたのである。今回も犬の足跡のような物が周囲に見られた。
ヘンリーが英国にやって来て、ホームズと面会する。ロンドン到着早々、ヘンリーには警告状が届けられ、靴も一方が盗まれていた。ホームズはヘンリーがダートムアの屋敷に入るに当たって、自分の代わりに友人ワトソン医師をボディーガードとして付ける。
屋敷には執事のバリマン夫妻がいた。早速、夜遅くにバリモンが外部と灯りによる信号で連絡していた。
翌日、ヘンリーは村の人々を呼んで宴会を開く。そこでヘンリーはステイプルトンの義妹と仲良くなった。たびたびデートを重ねるうちに二人の愛は深まり、結婚を約する。そこへ見知らぬ男が行商にやって来て追い返される。翌日、ワトソンに洞窟へ誘いの手紙が届く。洞窟に向かうと、ホームズが待っていた。その時、外で野犬の声と人の断末魔が聞こえ、崖から誰かが落ちた。
崖に行ってみると、死体はヘンリーの服を着ているが脱獄囚だった。ちょうどそこにステイプルトンがやって来た。
ヘンリーに会いに行きバリマン夫妻に事実を話した。バリマンの妻は囚人の姉であり、死んだ弟を保護していたのだ。事件は一件落着となりベリルはヘンリーとの披露宴を開く予定だ。それは真犯人を誘き出す罠だった。
ホームズとワトソンは翌日ロンドン行きの列車に乗り込むが、次の駅で降りて、ダートモアへ蜻蛉返りする。そして真犯人がヘンリーを襲ったところを現行犯逮捕するつもりだ。
ステイプルトン宅から一人で帰っていたヘンリーは途中で猛犬に襲われ瀕死の重傷を負ったが、なんとか助けることができた。ホームズはステイプルトンこそ猛犬を飼い慣らして、襲わせた一連の事件の犯人だと指名した。ステイプルトンは逃げ出すが、警察隊に囲まれており、このまま逃げれば底なし沼だ。

雑感

原作に近付けているが、設定がいくつか変わっている。
ベリルが実妹でなく義妹になっていて、事件の関与について一切関知していない。フランクリン(原作ではフランク・ロイド)の娘が登場しない。執事の名前が原作のバリモアでなくユダヤ風のバリマンになっている。
特に最初のベリルが無関係であるため、ヘンリーに荒野に近づくなと警告したのが誰だかわからない。脚本家は原作を理解していないか、適当に誤魔化したと考えられる。
ラストのヘンリーが犬に噛まれるのも、あれは一つ間違えれば、狂犬病だよ。脚本はかなり緩かったと思われる。

実質的にも英国人俳優ベイジル・ランズボーンが全体を仕切っていた。

スタッフ

監督シドニー・ランフィールド
原作アーサー・コナン・ドイル
脚本アーネスト・パスカル
音楽デビッド・バドルフ、チャールズ・マクスウェル、シリル・モクリッジ、デビッド・ラスキン
撮影 J.ペヴァレル・マーリー

キャスト

サー・ヘンリー・バスカヴィル  リチャード・グリーン
シャーロック・ホームズ  ベイジル・ラズボーン
ベリル・ステイプルトン  ウェンディ・バリー  
ジョン・ワトソン  ナイジェル・ブルース
ジェームズ・モティマー医師  ライオネル・アトウィル
執事バリマン  ジョン・キャランダイン
学者ジョン・ステイプルトン  モートン・ローリー
バリマン夫人  エイリー・マリオン
フランクリン  バーロウ・ボーランド
モティマー夫人  メリル・マーサー
サー・ヒューゴー・バスカヴィル  ラルフ・フォーブズ
脱獄囚  ナイジェル・ドブルーリア
ハドソン夫人   メアリー・ゴードン
サー・チャールズ・バスカヴィル  イアン・マクラーレン

 

 

バスカヴィル家の犬 The Hound of the Baskervilles 1939 ダリル・F・ザナック製作 20世紀フォックス配給

投稿ナビゲーション