1945年に英国イーリング・スタジオが制作したアンソロジー心理サスペンス映画。英国伝統的な怪談映画と思わせておいて、最後は当時の精神分析学にまで食い込む。心理映画では珍しく、最後の落ちが嵌まっていた。ぬるいホラーと思わせておいて、実は見る価値のある素晴らしい作品である。

 

メインとなる脚本はベイジル・ディアデンが演出して、それぞれの体験エピソードにはディアデンを含めた4人の演出が携わっている。

とある屋敷でのパーティに集まった老若男女は、初めて訪れた屋敷に夢での既視感を持っていたクレイグ氏を落ち着かせるため、百物語のように、夢の中での体験を順々に語っていく。

 

先ず初めは、「霊柩車の御者」。演出はディアデン、原作はE.F.ベンソンの「バス車掌」。

屋敷に集まった一人ヒューは、予知夢を見たという。
彼はかつて夢で霊柩車の御者に乗れと誘われた記憶があった。カーレース中の事故で入院していたが、退院となり喜び勇んで帰宅の途につく。バスに乗ろうとすると運転手の顔が霊柩車の御者のものだった。慌ててやり過ごすと、そのバスは崖から落ちたのだ。

 

次はアルベルト・カバルカンティ演出の「クリスマス・パーティ」(原作はアンガス・マクファイル)。

クリスマスの夜、子供たちでかくれんぼをしていると、サリーは奥まった場所で子ども部屋を見つけ、子どもが泣いているのに気付く。その男の子は姉に殺されると言っているが、サリーは信じず寝かしつける。後で聞くと昔この屋敷で姉に殺された弟がいたそうだ。

 

三番手は「呪われた鏡」、演出はロバート・ハマー、原作はジョン・ベインズ。

アンティークの鏡を新妻ジョーンが夫ピーターにプレゼントする。しかしその鏡は19世紀に妄執に取り付かれて妻を殺した男のものだった。次第にピーターにも異変が現れ、ある日浮気を疑って妻ジョーンを殺そうとする。妻はとっさに鏡を割ると、夫は憑き物が落ちたように大人しくなった。

 

 

そして四番目はコメディタッチの「ゴルファーの話」、主演はジョージ・パラット、ラリー・ポッターで演出はチャールズ・クリフトン、原作はH.G.ウェルズのコミカルホラー「不案内な幽霊」。

ジョージとラリーは愛する女性のため、ゴルフで勝った方が結婚して負けたら死ぬという決闘を行った。その結果ジョージが勝ち、ラリーは入水自殺した。しかしラリーは幽霊となりジョージに取り憑いてしまう。溜まらず彼女と別れるからもう出ないでくれと頼むと、了承してもらうが、幽霊が肝心の消え方を忘れてしまう。初夜の寝室まで着いてこようとするから、何とか消えてもらおうとしているうちに今度はジョージが消えてしまい、ラリーが寝室に忍び込む。

 

最後は「腹話術師の人形」、主演は名優マイケル・レッドグレイプ(バルカン超特急)、演出アルベルト・カバルカンティで原作ジェン・ベインズ。

精神科医ファン・ストランが出会った不思議な体験は、腹話術師フレアの犯罪だった。フレアは人形ヒューゴを連れてパリで公演していた。そこへアメリカの同業者キーが訪れる。ヒューゴはキーと一緒にやりたいと言うが、フレアが言わせているものと考えて相手にしなかった。再び出会ったのはロンドン。フレアは飲んだくれていた。トラブルを起こしそうになったので、介抱してやって寝かせ付ける。ところが夜、ヒューゴがいなくなって、キーの部屋から見つけて怒りだし、キーに向けて発砲する。

裁判で精神鑑定のために呼ばれたファン・ストランは、ヒューゴを持たせることを提案。フレアはヒューゴを持つと急に凶暴になり、ヒューゴの頭を破壊してしまった。フレアは二重人格とされ、今も精神病院に入っている。

 

 

ところがそこで本編に戻って、クレイグは精神科医ファンストランと二人にしてくれるように家人に頼む。二人きりになると、クレイグは突然ファンストランを絞め殺してしまい、逃走を図る。ところがどこへ行っても人々に追いかけれる。まるで悪夢のようだ・・・。

 

 

四番目までのエピソードは大したものではなく、コミカルなものさえある。ところが第五話が優秀な人形ものホラーであり、さらに最後の殺人が起きる。ところがどっこい最後のシーケンスで、ぽんと膝を突く展開だ。

 

 

「バルカン超特急」の出演者が多く出演していて、アルフレッド・ヒッチコックと関係がありそうな気がする。

ヒッチコックは同年末に「白い恐怖」を発表している。サルバドール・ダリを幻想シーンのデザインに起用した心理サスペンスである。

 

 

監督
アルベルト・カルバカンティ
チャールズ・クリフトン
ロバート・ハマー
ベイジル・ディアデン

 

制作
マイケル・バルコン

脚本
ジョン・ベインズ
アンガス・マクファイル

 

出演(メイン・プロット)
メルヴィン・クレイグ
ローランド・カルバー
ルネ・ガッド
サリー・アン・ハウズ
フレデリック・ヴァーク
アンソニー・ベアド
ゴーギー・ウィザーズ

 

第1話
ジュディ・ケリー
アンソニー・ベアド

第2話
サリー・アン・ハウズ
マイケル・アラン

第3話
ゴーギー・ウィザース
ラルフ・マイケル

 

第4話
ペギー・ブライアン
ベイジル・ラッドフォード
ノートン・ウェイン

 

第5話
マイケル・レッドグレイブ
フレデリック・ヴァーク
ハートリー・パワー

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