ヘレン・ヘイズ版ミス・マープル第二作。
アガサ・クリスティ原作は1952年だったが、ドラマから戦後色は消している。
ミス・マープルは、何者かに命を狙われているという旧友キャリーの屋敷を訪れた。
敷地内にはキャリーの夫・ルイスが経営する少年更生施設があり、異様な雰囲気が漂っていた。
ミス・マープルたちが部屋でくつろいでいると、銃を持った少年がルイスのもとに来た。
二人が隣の部屋に入るなり、激しい口論の末に銃声が鳴った。
しかし全く別の部屋から、キャリーの義子クリスチャンが射殺体で発見される。
(ミステリ・チャンネル)
このヘレン・ヘイズ版も、ジョーン・ヒクソン版も、出来は変わらないと思う。
この作品は最初から、無理やりミスディレクションしているから、(社会派推理を経験した我々の世代は真っ先に考えるべき)経済的動機の問題が最後になってしまう。
おそらく、作品自体が不出来だったのだろう。
誰が演出しても、それほど違う結果は出ない。
☆
ヘレン・ヘイズ版では、渋い個性派俳優が競演している。
その中でも主役のヘレン・ヘイズ(1931年アカデミー主演女優賞、1970年アカデミー助演女優賞)の顔色がずいぶん悪く見える。
体調を悪くしていて、すでに引退を考えていたのか?
キャリー・ルイーズ役のベティ・デイビス(1935年,1938年アカデミー主演女優賞、「イブの総て」)は、「八月の鯨」出演を前にして、もうろく振りに輪をかけている。
ここまで来ると立派な芸だ。
ジョーン・クロフォードとの共演(「何がジェーンに起ったか」)ほどではないが、二大ダブルオスカー女優対決は凄まじかった。
☆
アメリカ製作ドラマだが、今回は英国俳優を多数起用している。
夫役のジョン・ミルズ(「ライアンの娘」でアカデミー助演男優賞)は誰が見たってもっとも怪しい。
今や人気者のティム・ロス(タランティーノ作品や「海の上のピアニスト」に出演。)はデビューしてまもない頃だったが、重要な役だ。
☆
フランセス・デ・ラ・トゥーア(ベラヴァー嬢、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」)はよく見る顔だが、和田アキ子の若い頃にそっくりだ。
レオ・マカーン(カリー警部補、「オーメン1,2」、「ジーン・ワイルダーのシャーロック・ホームズの冒険」でモリアーティ教授)もよく見る人だ。
☆
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!
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