若き日の宇津井健スーパージャイアンツ・シリーズ第3弾(前編)と第4弾(後編)である。シリーズ化されたり前後編に分かれるのは、当時の子供向け映画では良くあった。第二弾までは日本を核で滅亡させようとする某国と宇宙から来た正義の味方スーパージャイアンツが戦うものだったが、第3弾からは地球を征服しようとする宇宙人と戦うものになる。
アメリカでは後に二つを一作品にしたものを「Invaders From Space」と題して上映している。米国で受け入れられたことから分かるとおり、オリジナルがDCコミック「スーパーマン」(アニメ化は1941年、映画化は1948年、TVドラマ化は1952年)の影響を強く受けた内容だった。

 
主演は宇津井健だが出番は少なく、子供たちの出演シーンが中心である。これは企画を聞いた監督が少年探偵団をイメージしたから。
監督は早撮りの巨匠渡辺邦男の弟子石井輝男。川内康範原作が紙芝居・黄金バットが1930年に作ったことで現代劇の等身大ヒーローが生まれた。
そして1957年に石井輝男が初期のスーパージャイアンツ・シリーズを映像化したことで、仮面ライダーなどに続く人間大ヒーローのあり方が定まった。原作者根岸伸介の作品を脚色した宮川一郎の功績も大きい。

あらすじ

 
円盤が来襲した。それに合わせて奇病が流行しだした。浅山博士は原因を掴むが混乱を避け、それを発表しなかった。
或る夜、博士の研究室に河童の姿をした宇宙人が現れ、誘拐される。
河童は惑星カピアから地球征服にやってきたのだ。
その時、スーパー・ジャイアンツがやってきて、河童は逃げ出した。
再び、怪音が鳴り続ける現象が東京に起った。その音を耳にすると不快感に襲われ倒れるのだ。
政府は『怪音「ギーの音」対策委員会』を開いたがその席上でスーパージャイアンツは、「屈服してはならない、必ず河童を倒す」と言い残し、円盤を探して飛び去った。
病原菌を研究していた深見博士がN劇場に行った際、失踪した。病人が出た中心地域がその劇場だったのだ。公演中のギリシャ舞踊団の正体は河童だった。
病気は伝染し、これ以上の被害を出さないために事実を発表し学童疎開が行われた。
疎開先で昆虫採集に出かけた子供たちは道に迷った。すると妖しい太鼓が・・・。三人はいつの間にか河童たちに取囲まれていた。

 
(後編)

亮、次郎、典子の三人は魔城に捕らわれた。すでに監禁されていた深見博士は、新兵器の内容を白状しろと責められていた。亮少年は救いを求めようと彼にもらったボールを投げつけた。するとどこからかともなくスーパージャイアンツが現れ、河童は逃げていった。
秘密工場では科学者たちが、病原菌対策と、新兵器開発を行っていた。数日後典子は妖婆に襲われるが、酸素ボンベから漏れ出した酸素に触れると、溶けてしまった。早速酸素銃を政府は開発し、装備する。
また医者たちワクチンの生産を始めていた。惑星カピアでは次なる攻撃の計画していた。魔術師の力で地球の静止させ、スーパージャイアンツを倒そうとする。カピアの魔術師に対してスーパー・ジャイアンツが地球代表の使者として円盤に潜入する。魔術師は彼の敵でなかった。円盤を破壊して地上に残る河童達も全滅させ、スーパージャイアンツは宇宙へ帰って行った。
 

雑感

 

現代と比較すると、変身バンクがない。ボスキャラの概念が希薄。
しかし現代ヒーロー劇で「トンボを切る」というのが、始まったのはスーパージャイアンツからだと思う。後ろ向きに逃げるより安全だが、速度で大きなロスがある。だから意味があまりない行動だと思うが、見栄えが良いからトンボを切ったのだろう。元は忍者映画からだと思う。
「月光仮面」「七色仮面」「アラーの使者」という宣弘社、東映のヒーローものに与えた影響は大きい。

 
ちなみに鋼鉄の巨人と題されながら等身大だし、ジャイアンツと複数形なのは、プロデューサ大蔵貢が野球の巨人ファンだったから。英語版ではジャイアントと吹き替えられている。

スタッフ・キャスト

監督 石井輝男
製作 大蔵貢
脚本 宮川一郎
企画 笠根壮介
撮影 森田守
音楽 渡辺宙明
 
配役
スーパー・ジャイアンツ 宇津井健
浅山博士 高松政雄
浅山美子 山口美奈子
浅山亮 岩下亮
浅山次郎 阿部誠
助手館野 館正三郎
深見博士 中村彰
深見雄一 浅見比呂志
深見典子 勝間典子

怪星人の妖婆 小野彰子
怪星人 明日香実
怪星人の魔術師 大谷友彦

鋼鉄の巨人 怪星人の魔城/地球滅亡寸前 Invaders From Space 1957 新東宝製作・配給

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