紀元前に大西洋の海中に没したと伝えられる謎の大陸アトランティスを舞台にした冒険映画。
ジェラルド・ハーグリーブスの舞台劇をダニエル・メインウォーリングが脚色し、「タイム・マシン」のジョージ・パルが監督した。
主演はTV出身の新人アンソニー・ホール、ジョイス・テイラー。共演はジョン・ドール。
あらすじ
ギリシャの漁師デミトリオスは、アトランティスの王女だという美女アンティリアが海で漂流しているのを助ける。アンティリアは貴族らしく気高い娘だったが、デミトリオスには心を許していた。ある夜、故郷恋しくてアンティリアは一人で帆船を漕ぎ出したが、なかなか前に進まない。耐らずデミトリオスは、次の満月までにアトランティスに着かなければギリシャへ帰ること、そしてその時はデミトリオスの妻になることを条件に飲ませて、謎の大陸アトランティスへ帆を向けた。
彼は船で西へ進んだ結果、満月という日に、ギリシャ人が見たことのないような鉄製の潜水艇が、目の前に浮上した。中にはアトランティスのザレン軍務大臣と星占い師ソノイが乗っていた。彼らは二人を救助してアトランティスにたどりついた。アトランティスの文明は非常に高く、見るもの全てが珍しかった。アンティリアの父クロナス王は無事な姫を見て喜んだ。
しかし大臣ザレンにより異邦人デミトリオスは奴隷となった。星占い師ソノイも彼には不吉の前兆があると言う。デミトリオスは鉱山で強制労働させられることになる。
ある日、奴隷の列にデミトリオスがいることに気づいたアンティリアは声を掛けるが、デミトリオスに泥の塊をぶつけられる。アンティリアは何故私の恩人を奴隷にしたかと父を問い詰めるが、父はザレンの傀儡政権に過ぎず、全てはザレンの差金だった。
ただしデミトリオスが、大男と一対一の決闘で勝ち残れば、市民に昇格できる。そこでデミトリオスは円形競技場の大観客の見守る中、大男アンデスと戦ってこれを溺れ死させ、アトランティス市民権を得る。
最近天変地異の前触れが起きており、災厄を取り除くためにもザレンとソノイはギリシャをアトランティスが滅ぼす必要があると考える。そしてアトランティス科学の結晶である、太陽光を蓄えて安定したエネルギー供給を実現したクリスタルの技術を悪用し、殺人光線を作り出してギリシャをこの手中に収めようと経過する。一方、アゾルは、天変地異が火山崩壊を意味し、デミトリオスに早くアトランティスから逃げよと言う・・・。
雑感
アトランティスの最後を、科学を悪用した大臣の悪政と奴隷の反乱によるものとして描いている。宗教劇っぽい感じがする。スぺクタクル・シーンは名画「クオ・バディス」のシーンを借用している。
ジョン・ドールがいつもの詰めの甘い悪役で、最後はやはり足元を救われる。
特に内容はないし、主役の二人に思い入れはないが、特撮シーンが見ものである。日本のそれと対してレベルに差はない。
でもこれを見ている限り大西洋に沈んだアトランティスって大陸ではなく、ただの島だったんだと思う。
スタッフ
製作、監督 ジョージ・パル
脚色 ダニエル・メインウォーリング
原作 サー・ジェラルド・ハーグリーブス
撮影 ハロルド・E・ウェルマン
美術 ジョージ・W・デイヴィス、ウィリアム・フェラーリ
特殊効果 リー・レブラン、A・アーノルド・ガレスピー、ロバート・R・ホーグ
キャスト
漁師デメトリオス アンソニー・ホール
アンティラ王女 ジョイス・テイラー
ザレン軍務大臣 ジョン・ドール
アゾル大僧正 エドワード・プラット
星占い師ソノイ フランク・デ・コヴァ
人体実験する外科医 ベリー・クローガー
クロノス王 エドガー・ステーリ
***
これを知ったデミトリオスは、あえて奴隷の監督官に志願して、奴隷たちと苦楽を共にする。実は奴隷たちを組織して、火山の大爆発を誘導していた。
彼の計画通り火山は爆発し、奴隷とともに将来を誓い合ったデミトリオスとアンティリアは、船で海に逃れた。宮殿の周りにいた市民たちは、地殻変動で逃げきれなかった。
デミトリオスを殺人光線で消し去ろうとしたザレンは、僧正に留められ最後は相打ちになって果てた。沖に出たデミトリオス、アンティリアと少数の奴隷は助かったが、アトランティス大陸は海中に没した。奴隷たちは、生まれ故郷南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカに向かって漕ぎ出していった。