ミルトン・スパーリングが主催したユナイテッド・ステイツ・ピクチャ製作の1951年作品.
殺し屋組織のボスを起訴しようとする地方検事の活躍を描いている。

マーティン・ラッキンの脚本をブレテイン・ウィンダストが監督していたが、監督が急病になったため、終盤からラウル・ウォルシュが後を引き継いだ。

主演はハンフリー・ボガート、共演はゼロ・モステル、新人パトリシア・ジョイナー、スーザン・キャボットテッド・デ・コルシア

白黒映画、因みに「ダーティハリー3」(1976)と同じ原題である。

あらすじ

ファーガスン地方検事補は、殺し屋グループの首領メンドーサを逮捕し、起訴しようとしている。そのために、検察側の証人として、メンドーサの子分リコを起用するつもりだった。ところが、狙撃されたためにリコは、恐怖のあまり窓から転落死してしまう。証人を失ったファーガソンは、もう一度事件を洗い直す。

スマイリー、フィラデルフィア、ビッグベイブという男たちが、デュークに命じてニーナという娘を殺させた。しかし、デュークはニーナを愛してしまったため、自首してきて事件が発覚した。デュークは自首の後、すぐ留置所で首を吊った。

精神病院から二週間前に出てきたフィラデルフィアが、器物破損罪で逮捕され、強制的に精神病院に戻される。タバコ屋のオルガが、可愛がっていたフィラデルフィアにタバコの差し入れをしていたと言う。
次にスマイリーを殺したうえに、放火事件を起こす。
そして最後にビッグベイブが、警察に逮捕される。ビッグベイブは、彼らとの出会いから語っていった。オルガの店の奥が、一味のアジトだった。そこでは、殺し屋に仕事を分担させていた。
死体処理は、別の班がやっていた。遺体と一緒に出てきた車検証から、トーマス・オハラが捜査線上に上がり、逮捕される。
オハラは、デュークをニーナと会わせた人物だった。彼の証言によると、デュークはニーナに情が移って一緒に逃げる予定だったのだ。

ファーガスンは、ニーナの同居人テレサに尋ねた。すると、ニーナは名前を変えていると言う。元の名前は、アンジェラだった。殺されたトニー・ヴェットの娘だった。
フィラデルフィアが、退院するので、証言を取った。トニー・ヴェット殺人事件では実行犯でなく、運転手役をしていた。死体処理係も逮捕して、遺体の埋めた場所を聞き出す。その沼地を掘り出すと、大量の遺体が出てきた。これはもはや大量殺人事件である・・・。

 

雑感

実際にあったマーダー・インクという殺し屋専門組織に関わる事件を基にしたフィクション(フィルム・ノワール)。
地方検事が、殺し屋稼業の請負人を起訴しようとするが、検察側の証人を失い、絶体絶命のピンチに陥る。
主演の地方検事役ハンフリー・ボガードには珍しく、ミステリ映画要素の入った、なかなかわくわくさせる、面白いフィルム・ノワールだった。回想シーンの中に、また回想シーンが出てくる。
推理小説をよく読んでいる人には、最初からモヤモヤするし、最初に起きた事件の回想シーンでピンと来るだろう。

実話の映画化は スチュアート・ローゼンバーグ、バート・バラバン共同監督の20世紀フォックス作品「殺人会社」(1960)で主演は、ピーター・フォークである。

スタッフ

製作  ミルトン・スパーリング
監督  ブレテイン・ウィンダスト、ラウル・ウォルシュ(クレジット無し)
脚本  マーティン・ラッキン
撮影  ロバート・バークス
音楽  デイヴィッド・バトルフ

 

キャスト

ファーガソン地方検事補  ハンフリー・ボガート
ビッグ・ベイブ(小物)  ゼロ・モステル
ジョセフ・リコ(検察側の証人)  テッド・デ・コルシア
アルバート・メンドーサ(殺し屋の首領)  エヴェレット・スローン
ネルソン警部  ロイ・ロバーツ
デューク・マロイ(初めの事件の犯人)  マイケル・トーラン
テレサ・デイビス(ニーナのルームメイト)  パトリシア・ジョイナー
トーマス・オハラ(デュークの仲間)  ドン・ベードー
トニー・ヴェット(最初の事件の目撃者)  ティトー・ヴォロ
ヴィンス(小物)  ジョン・ケロッグ
ザカ(精神病患者)  ジャック・ランバート
オルガ・カーシェン(雑貨商の女)  アデレード・クライン
ニーナ・ロンバード(ヴェットの娘)  スーザン・キャボット

 

***

リコは、元締めに警察に追い詰められていることを訴えた。しかし、隠れ家でじっとしてろと言われた。オルガら部下に、待てと言って、リコは街に戻ったことにする。実は近くに身を潜めていた。夜になって、カンサスシティの仲間がやってきたが、部下を皆殺しにした。リコは、うまく逃げ切ってファーガソンに司法取引を持ちかけた。
ファーガソンと出会ったリコは、殺しを請け負っている元締めが、メンドーサだと告げた。メンドーサとリコは、メンドーサが最初に喫茶店主ウェッブを殺した時から一緒だった。そのとき、ヴェット父娘に現場を目撃されたのだ。
そしてメンドーサを逮捕したのだが、生き証人リコが死んで、途方に暮れていた。

しかし、ファーガスンはニーナが人違いで殺されたことに気付き、真の目撃者がテレサであることを悟った。
一方ギャングもテレサを追いつめたが、スピーカーで呼びかけ駆けつけたファーガスンが彼女を救い、ギャングを倒した。
そしてテレサをメンドーサの裁判に証人として出廷させるため、エスコートしていった。

脅迫者 The Enforcer (1951) ユナイテッド・ステーツ製作 ワーナー・ブラザーズ配給 1953年日本公開 ハンフリー・ボガードのフィルム・ノワール

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