ギャングと警察が手を組んだ国防計画を巡る陰謀に、果敢に挑戦する殺し屋鳴海昌平の姿を描く。
脚本は永原秀一、監督は村川透
主演は松田優作、共演は田坂圭子

 

 

あらすじ

大会社社長の連続誘拐事件が起きていた。今度は、東日電気社長の南条が誘拐される。小日向会長は、殺し屋鳴海を呼び出し、南条救出を5000万円で依頼する。小日向の話によれば、この事件は、国防計画を受注した東日グループに対抗した、ライバル・五代コンツェルンの陰謀だった。小日向は、五代コンツェルンがフィクサーである足立に依頼して、誘拐事件を起こしたと言う。足立の部下である居郷が実行犯らしい。

鳴海は、居郷の愛人である杏子を犯して、南条が監禁されている病院跡地を聞き出す。単身潜入した鳴海は、銃撃戦の末、居郷を射殺し、南条を救出した。ところが、帰る途中で何者かに狙撃され、鳴海は負傷し南条は射殺された。
失敗した鳴海は、小日向から預かった支度金を返しに行く。ところが、小日向から改めて足立暗殺の指令を受ける。そんな鳴海に杏子は、危ない事はやめてと縋った・・・。

  
雑感

松田優作は、1973年テレビドラマ「太陽にほえろ」のジーパン刑事で人気者になったが、1976年「俺たちの勲章」の打ち上げで暴力事件を起こし、テレビから一年間干される。その間に東映映画「暴力教室」「ひとごろし」に出演し、1977年にはテレビドラマ「大都会PART II」で復活し、渡哲也、石原裕次郎と共演する。映画でも大作映画「人間の証明」に出演している。そして1978年から79年にかけて「遊戯」シリーズ三部作を東映の子会社”東映セントラル映画”で撮る。その第一弾で、低予算なのに大ヒットした映画が「最も危険な遊戯」である。ちなみに「人間の証明」の主題歌がこの映画のラストにストリッパー役岡本麗が裸で踊るシーンで使われる。そのシーンで岡本麗は局部を隠すのに麦わら帽子を使っていて、言わば「人間の証明」がパロディになっていた。

田沢圭子は、この作品と1978年ごろの男性誌のグラビアでしか知らない。美人でなかなかスタイルは良く、小ぶりの胸で好みのタイプだったが、すぐ芸能界から消えてしまった。
どうして、新人美人女優が松竹でも東宝でもなく東映に出るのか?確かに下手だが、うまく育てればすぐ成長する。
夏樹陽子もモデル上がりで当時、千葉真一と共演していた。彼女は、すぐ主役になった。

最初のシーンは、松田優作石橋蓮司榎木兵衛内田裕也(クレジットなし)と麻雀をしていて、柴田恭兵が観ているところから始まる。松田がぼろ負けして、イカサマをされたと気付くが、ボコられて有り金全部を盗られる。
最後は鳴海がストリップ嬢岡本麗に振られてとぼとぼ歩いていると、田沢が良い男と車に乗り込むのを見つけ、「やっときゃ良かった」と言って追いかける、情けないシーンで幕を閉じる。
このように最初と最後だけ、日常の世界を描いている。そう言う意味で、これは仮面ライダーのような変身ものだと言える。

村川透監督は、ここではチョイ役で使っていた柴田恭兵と「薔薇の標的」(村川透監督)で主演した舘ひろしと組んでバブル崩壊直前にテレビドラマで「あぶない刑事」シリーズを作る。

スタッフ

企画  黒澤満、伊地智啓
脚本  永原秀一
監督  村川透
撮影  仙元誠三
音楽  大野雄二
助監督  崔洋一

 

キャスト

鳴海昌平  松田優作
田坂杏子(居郷の愛人)  田坂圭子
桂木彰(警部)  荒木一郎
小日向兵衛(東日グループ総帥)  内田朝雄
土橋卓(小日向の秘書)  草野大悟
足立精四郎(フィクサー)  見明凡太朗
綾乃(足立の愛人)  市地洋子
居郷忠司(足立の子分)  名和宏
南条信隆(東日電機社長)  入江正徳
植田  片桐竜次
梶井  山西道広
麻雀屋の男A  榎木兵衛
麻雀屋の男B  石橋蓮司
石崎刑事  苅谷俊介
刑事A  大前均
刑事B  阿藤快
ストリッパー  岡本麗

 

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足立の身辺を探る鳴海の前に、警視庁の桂木警部とその部下たちが現れ、この件から手を引くように脅す。桂木らは、五代の手足として働いていた。鳴海と南条を狙撃したのも彼らだった。
鳴海は、クラブのママで足立の愛人である綾乃から、足立の隠れている寺を教えられる。そして鳴海は、隣のビルの屋上から足立を簡単に射殺する。

その瞬間、桂木ら警察が一斉にビルを包囲する。命からがら逃げ切った鳴海が隠れ家に帰ると、そこに居着いていた杏子を桂木らが拉致して、車で逃亡する。慌てて鳴海は走って追いかける。桂木らは、敢えて鳴海を誘き寄せ鳴海を始末しようとするが、逆に桂木らが全員射殺される。

鳴海は、事件の裏が読めてきた。狙撃した足立は替え玉であり、小日向は、本物の足立と手を結んで鳴海の情報を足立に売った。鳴海は足立の屋敷に正面から正々堂々と入り、足立を問答無用で射殺し、小日向は「約束手形だ」と言って脚を撃って歩けなくした。

結局、貧乏くさい生活に戻った鳴海は、ストリッパーにも相手にされない。ストリップ小屋から出ると、あの杏子が浮気をして良い男と高級車で走り去るところだった。

 

 

 

 

最も危険な遊戯 1978 東映セントラル製作 東映配給 「遊戯」三部作最初の作品

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