「帝銀事件死刑囚」で監督としてのデビューを飾った熊井啓が再び戦後の闇に突っ込んだ第二回作品。主演:宇野重吉、鈴木瑞穂、二谷英明

 

あらすじ

 

日本の独立後、在日米軍のリミット曹長が国内で死体となって発見される。ポラック中尉は、通訳の秋山に命じてリミットの来日目的を探ろうとする。すると旧陸軍中野学校に関係する、日本の印刷技術を使った大規模な通貨偽造組織の存在が判明する。

 

 

雑感

 

結局、すべては政治的判断の一言で闇から闇へ葬り去られる話。実話をベースとしており、今となっては良くある陰謀説だが、当時映画を見ていて背筋がゾクゾクとしたんじゃないか。

劇団民藝を中心に演技派俳優が名を連ね、映像に重みを与えているが、配給側の日活から押し込まれたダンプガイ二谷英明武藤章生も十分良い仕事をしていた。吉永小百合に活躍の場をすっかりうばわれた芦川いづみも社会派映画に新境地をひらいたが、私生活面で限界を感じていた頃だった。

なお、松本清張が小説「黒い福音」で扱った実話BOACスチュワーデス殺人事件について、この映画は違った側面(東南アジア麻薬ルート)から推理している。

 

 

 

スタッフ・キャスト

 

監督・脚色  熊井啓
原作 吉原公一郎
企画 大塚和
撮影 姫田真佐久
音楽 伊福部昭

 

配役
秋山  宇野重吉
原島  二谷英明
和子  芦川いづみ
黒崎  鈴木瑞穂
涸沢  大滝秀治
佐々木  佐野浅夫
佐々木夫人  北林谷栄
日高  内藤武敏
警視総監  下元勉
刑事部長  加藤嘉

日本列島 1965 日活 「帝銀事件 死刑囚」に続く熊井啓監督の社会派作品

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