(★)「頭上の敵機」を書いたバーン・レイ・ジュニア原作を、「トコリの橋」を書いたヴァレンタイン・デイヴィースが脚色して、「ララミーから来た男」の名匠アンソニー・マンが監督した空軍映画。
テクニカラー映画で撮影ウィリアム・ダニエルス、音楽はヴィクター・ヤング。
主演ジェームズ・スチュワート、ジューン・アリソン。彼らの三作目の共演作である。助演はフランク・ラブジョイ、バリー・サリバンら。
雑感
戦略爆撃機の編隊からなるSACを見学したジェームズ・スチュアートは、その戦略的重要性を広く世間に訴える必要があると考え、自らプロデューサーを買って出て映画化した。ジェームズ・スチュアートはバリバリの保守派であり、第二次世界大戦ではB24のパイロットとして従軍していて、戦後も予備役として度々従軍して最後は空軍准将になった。
アメリカの戦略爆撃機は、第二次世界大戦中のB17、B24、B29、冷戦前期のB36とB47、ベトナム戦争でのB52、冷戦後のB1、B2等がある。この映画は、冷戦前期のB36とB47をフィーチャーしている。B36のフォルムはダサいが、ボーイング社が納入したB47は凄く格好良い。
原作がある脚本としては、面白くない。ジューン・アリスンも生かされていない。さらに、アンソニー・マンは左翼系の監督だから、やる気がなかったのではないか。
しかし、空撮シーンは実際に爆撃機を飛ばしていて、その姿はボーイングの旅客機でないかと思うほど美しい。
「トップガン」と違い、ジェームズ・スチュアートが操縦しているシーンは、スタジオ収録である。
キャスト
ジェームズ・スチュアート ロバート・「ダッチ」・ホランド中佐
ジューン・アリソン サリー・ホランド夫人
フランク・ラヴジョイ エニス・ホークス将軍
バリー・サリバン ロッキー・サムフォード中佐
アレックス・ニコル アイク・ノーランド
ブルース・ベネット エスピー将軍
ジェイ・C・フリッペン ドイル
ジェームズ・ミリカン ラルフ・キャッスル少将
ジェームズ・ベル ソーン牧師(サリーの父)
ローズマリー・デ・キャンプ ソーン夫人(サリーの母)
ジョン・R・マッキー シミントン大佐
ヘンリー・モーガン バイブル軍曹
スタッフ
監督 アンソニー・マン
製作 サミュエル・J・ブリスキン
脚本 ヴァレンタイン・デイヴィース
脚本、原作 バーン・レイ・ジュニア
撮影 ウィリアム・H・ダニエルズ、リチャード・ミュラー
ストーリー
大リーグのセントルイス・カーディナルスに属する正三塁手ロバート・「ダッチ」・ホランドは、フロリダでのキャンプ中に、親友のラルフ・キャスル米国空軍少将の訪問をうけ、新しく出来たSAC(空軍戦略部隊)に召集される。第二次大戦中に爆撃機B24の優秀な操縦士でありその後も予備役に就いていたホーランドは、熟練した操縦士が新時代の爆撃機に必要と言われ、応召した。
SACの基地は、テキサスのフォート・ワースにあった。これから、再び21カ月の軍隊生活が始まる。彼の後を追って、妻サリーもやって来た。健気にも妻は、ここで子供を産むと張り切っていた。
フォート・ワースのカースウェル飛行場で、ホランドはサムフォード中佐の指導をうけて現役爆撃機B36を操縦する。ホランドは、同じ爆撃機に乗り込むチームにかつての懐かしい部下の顔を見る。
まずはアラスカまでの無着陸往復飛行を体験して、彼は機長に昇進する。ちょうど、サリーの臨月にホランドは、グリーンランドに向けて耐寒試験飛行をする。しかし、グリーンランド上空でB36のプロペラが火を吹き、搭乗員をパラシュートで降ろした後、彼は肩を負傷しながらも不時着した。ヘリコプターに救出されて、ホランドはグリーンランドのシェリー基地で娘ホープが生まれたことを知った・・・。
その後ホランドは、フロリダ・タンパへの転任を命じられた。ホランドは新型爆撃機B47の栄えある機長に任命された。ホランドは仕事に誇りを感じて、召集期間の延長に応じた。妻は、その決定を自分に無断でしたと怒った・・・。
日本の横田基地までの長距離試験飛行を行うことになった。しかし、ホランドは肩の傷が悪化しているのに軍医に診てもらわなかった。悪天候になり沖縄に着陸することになる。着陸間際になって、急に右手が利かなくなった。そこで、副操縦士に操縦を任せ、無事着陸する。
ホークス将軍は、ホランドは地上勤務を命じる。ホランドも責任を感じて、除隊することになった。投げられなくなったことでプロ野球への復帰も無理となってしまった。ホークスは、ホランドの貢献に感謝する。ダッチは再びサリーの元に戻り、コーチでもやろうと考えている。基地からB-47の編隊が発進した。