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下山事件 最後の証言 祥伝社 2005

      2017/09/10


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現在ロングセラーを続けている。読んでみると、これがかなり面白い。昭和24年の国鉄下山総裁の轢死事件を掘り下げている。
他の下山事件関係の著作との違いは、著者の祖父が事件の関係者だったこと。普通こういうドキュメンタリーは、取調調書や検事調書の(飽き飽きするような)事実の羅列が多い。
しかし、この本は違う。新聞記者の書いたものと違い、身内と会話するだけで取材できてしまう。直接、関係者から生証言を得ているので、推理小説を読んでいるようだ。
ただし、この事件はほとんどの証人が偽証している。しかも100%の偽証ではなく、50%の偽証なのだ。半分は本当であって、半分が嘘だ。
したがってここに書かれている「最後の証言」も、そうかもしれない。実行犯をイニシャルで、拉致犯の一人を実名で指名しているが、指名の理由はやはり関係者の証言である。物証は全くない。
また著者は、黒幕の「政治家」が誰かを推理しているが、その安直さに疑問を感ずる。
なぜ黒幕は政治家でなければならないのか?彼は犯人グループを知っていたと考えられるが、はたしてフィクサーだったのか?
もしこの事件が国鉄の○○がらみの犯罪ならば、政治家ではなく、▲▲家の方が怪しいだろう。しかし名指ししてしまうと、未だ差し障りがあるの人なのかもしれぬ。そこで敢えて政治家の名前を挙げたのではないか。
またこの下山事件と、同じ年の真夏に起きた未解決事件である、三鷹事件、松川事件との関係を説明していない。国鉄に関わる、これほどの大事件が、それぞれ独立な事象だったのか?
この本のおかげで、下山事件は一層謎が深まった。

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