2018年9月6日に亡くなった名優バート・レイノルズ最後の主演作。
往年の映画スターが生まれ育った街の近所ナッシュビルから映画祭で功労賞を差し上げるので来ないかと打診がある。喜んで行ってみると・・・。
監督・脚本はアダム・リフキン。
出演はアリエル・ウィンター、クラーク・デューク、エラー・コルトレーン、ニッキー・ブロンスキー。
あらすじ
ハリウッドの邸宅でかつての大スター、ヴィックは“国際ナッシュビル映画祭”からの、招待状が受け取る。そこには功労賞を授与したいと書いてあった。
彼の友人ソニーには、招待を断るなと、忠告される。
ナッシュビルの空港で彼を迎えたのは、ポンコツ車に乗った主催者の妹。彼氏であるビヨルンが浮気したと大喧嘩している。
案内されたホテルも木賃宿だった。
映画祭のオープニングまでの時間が無いと、ヴィックは急かされて会場に向かう。到着した会場は場末のパブだった。
映画祭の主催者はダグとショーンという映画オタク。
やがて彼の主演映画「カトマンズの奇跡」が上映される。
ヴィックは、リルが再びビヨルンとスマホで言い争う姿を目にする。頭に来たリルはヴィックに映画祭の内幕を教える。これは無名の国際ナッシュビル映画祭であり、有名な「ナッシュビル国際映画祭」ではなかった。
「カトマンズの奇跡」の上映終了後、舞台でヴィックはパチーノ、デニーロ、ブランドと違って、誤った選択をした、自分はこの映画祭で辱められた、これは映画祭では無く、負け犬の映画鑑賞会だ、と言ってしまう。
その夜リルはビヨルンとヨリを戻し、ベットを共にしていたが、遅れたので慌ててヴィックを迎えに行く。ヴィックは、荷物をまとめて、帰宅するつもりだった。しかしヴィックは“ノックスビル”を示す標識に気付く。そこは彼の生まれ育った街だった。
彼は久しぶりに帰ってきた街を巡り思い出に浸る。彼の暖かな様子にリルも打ち解ける。
ヴィックは夜になって、別れた妻クライディアの老人ホームを訪ねるが、明朝出直してくれと追い返される。
リルの心配をよそに、ヴィックは予約の無い最高級のホテルに乗り込む。ホテルマンは彼をこの街のヒーローだと言って歓迎する。
幸せな気分でいたリルはインスタグラムを見て、ビヨルンが浮気相手と一緒にいる事に気付く。怒るリルに対して、ヴィックは、彼は胸の痛みを訴える。彼女が水を取りに行っているうちに、ヴィックは結婚式の披露宴に招かれ、歌を披露していた。
翌朝、リルにヴィックはノックスビルに来た理由を自分を作ってくれた街に別れをいうためだと語る。
ヴィックとリルは、クラウディアと面会するが、彼女はアルツハイマー病に侵されて、彼のことを解らない。彼はクラウディアを連れてホームを飛び出し、かつてプロポーズした場所に連れて行きもう一度プロポーズする。彼女にあの頃の思い出が蘇り、笑顔が戻る。
最後に「国際ナッシュビル映画祭」に戻り、特別功労賞を受け取る。
観客にヴィックの人生は1・2・3幕目と失敗続きだったと語る。しかしダグとシェーン、スチュアートとフェイス、そしてリルのお蔭で、自分の人生は手遅れでないと気付くことができた。
観客の拍手に包まれて、ヴィックはナッシュビルを後にする。
ヴィックはハリウッドで友人ソニーに再会し、お前をあの映画祭の功労賞に推薦しておいたと語る。
雑感
俳優の栄光とその裏に隠された現実を描いた老人映画だ。しかしそのテーマは俳優に限らない普遍的なものだった。最後はホロリと来る。
実績を見てもバート・レイノルズが性格俳優なんて考えたこともなかったが、「セルピコ」の主演を受けるか否かで一度は進路を選択していたそうだ。もしかしたら彼がアル・パチーノの立場だったかもしれない。
そういえば、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」にも老牧場主の役(実際の映画ではブルース・ダーンが演じた)でオファーをもらっていたそうだが、出演前に亡くなってしまった。
久しぶりにチェビー・チェイスを見た。すっかり老けて太っていた。ニッキー・ブロンスキーも「ヘアスプレー」で見て以来初めて見た。空港で他の女優と喧嘩して芸能界から干されてアルバイトをしているそうだ。歌うシーンはなかった。
最後に映された若き日の西部劇でのヴィックとクラウディアの白黒シーンは、テレビ西部劇「ガンスモーク」でバート・レイノルズと別れた妻役を演じたキャサリン・ノーランが実際に共演したシーン。日本で放送された分に含まれていたかどうか走らない。
他にもバート・レイノルズ主演映画「脱出」「トランザム7000」のフィルムを合成して、昔のバートと今のバートが共演する。
ただしバート・レイノルズの最初の妻は、製作年の2年前に亡くなっている。
スタッフ
監督・脚本 アダム・リフキン
製作 ゴードン・ホワイトナー 、 アダム・リフキン 、 ブライアン・キャバレロ
製作総指揮 ブレット・トマソン 、 エリック・クリッター
編集 ダン・フレッシャー
音楽 オースティン・ウィントリー
キャスト
かつてのセクシー俳優ヴィック・エドワーズ バート・レイノルズ
主催者の妹で運転手リル・マ クドゥーガル アリエル・ウィンター
映画祭主催者ダグ・マ クドゥーガル クラーク・デューク
副主催者シェーン・マクガヴォイ エラー・コルトレーン
主宰者のGFフェイス・コール ニッキー・ブロンスキー (「ヘアスプレー」の主演)
友人ソニー チェヴィー・チェイス
別れた妻クラウディア キャサリン・ノーラン