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フェデリコ・フェリーニの第二回単独監督作品。
30歳になるのにニートな五人組の青春を描いている群像劇。
ロレンゾ・ペゴラーロ製作でフェリーニらによる原案をフェリーニとエンニオ・フライアーノが脚色した。
白黒映画で撮影はオテロ・マルテリ、音楽はニーノ・ロータが担当している。

主演はフランコ・インテルレンギ(可愛い悪魔)、フランコ・ファブリッツィ(崖)、アルベルト・ソルディ、レオポルド・トリエステ、フェリーニ監督の弟リカルド・フェリーニ
共演はレオノーラ・ルッフォ、ジャン・ブロシャール、アルレット・サウヴァージ
フェリーニは、本作でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した。
日本では新外映が輸入して1959年に上映された。

 

雑感

30歳になるのに定職に就かず、ともに夜になるとつるんで遊んでいる五人組。おそらくフェデリコ・・フェリーニの青春時代の一頁を描いたものだろう。
イタリアは第二次世界大戦中から慢性的な不況に見舞われていたから、30歳になっても、マフィアに墜ちるわけでもなく、だらだらとニート生活を送っていた「焼跡派」がいた。
その中で、田舎から脱出して自立する欲求が最も強かったモラルド青年は、貧しいがゆえに子供ながら朝の三時から駅員見習で働くグイドと会って、俺は何をしているのかという気持ちになる。

フェデリコ・フェリーニの映像作品らしく、盗まれる天使像、仮面カーニバル、光を使った演劇、アメリカから流入したマンボのリズム等が象徴的にが画面を彩る。そんな中で青年から大人への巣立ちの日々が描かれる。
原題は「乳離れしない仔牛」という意味。フェデリコ・フェリーニが育った北イタリア・港町リミニの方言で「のらくら」を表す。

 

キャスト

 

アルベルト・ソルディ  シスコンのアルベルト
フランコ・インテルレンギ  田舎を離れたいモラルド
フランコ・ファブリッツィ  色男のファウスト
レオポルド・トリエステ  劇作家志望のレオポルド
リカルド・フェリーニ  歌の上手いリッカルド

レオノーラ・ルッフォ  モラルドの妹サンドラ
リダ・バーロヴァ  ジウリア夫人
ヴィラ・シレンティ チネシーナ
ジャン・ブロシャール ファウストの父
クロード・ファレル  アルベルトの姉
カルロ・ロマーノ  ミシェル夫人
エンリコ・ヴィアリシオ  モラルド、サンドラの父
パオラ・ボルドーニ  サンドラの母

 

スタッフ

製作  ロレンゾ・ペゴラーロ
監督、原案、脚色  フェデリコ・フェリーニ
原案、脚色  エンニオ・フライアーノ
原案  トゥリオ・ピネリ
撮影  オテロ・マルテリ
音楽  ニーノ・ロータ

 

 

ストーリー

五人組の青年は、生きる目的をなくだらだらと毎夜遊びに出かけ、ニートな生活を送っていた。
そのうちの一人モラルドの妹サンドラがミスコンに出場して、優勝をかざる。しかし、優勝パーティの最中に倒れてしまう。五人組のリーダー、ファウスト(フランコ・ファブリッツィ)が妊娠させたのだ。両家で話し合って二人を結婚させる。
ファウストは、サンドラの父の計らいで神具店に勤める。だが、主人の奥さんに色目を使ったおかげで、クビになる。彼は、退職手当をもらえなかったので、モラルドと一緒に天使像を盗み出し、修道院に売りつけようとする。しかし、二人の悪事はバレて警察に大目に見てもらう代わりに、それぞれの父親に打たれる・・・。

五人組の一人アルベルト(アルベルト・ソルディ)は、姉に小遣いをもらっている。秋のカーニバルの明くる日に姉は、彼を残して不倫男と駆け落ちする。
レオポルド(レオポルド・トリエステ)は、劇作家志望だ。彼は、ドサ回りにやって来た老優に大都市での座付き脚本家として紹介してもらおうとした。しかし、老優はホモセクシャルだったため、すっかり怖じ気づいてしまう。
リカルド(リカルド・フェリーニ)は、歌がうまいのだがこんな田舎にくすぶっていては専門的に勉強できない。
若いモラルドは、朝三時から仕事に行く、生活力のありそうな駅員見習い少年と知り合って、別の人生を知ってしまった。彼は、この町から一人で旅立つことを考えた。ファウスト夫婦や、レオポルドや、リカルドや、アルベルトが寝ている間にモラルドは、あてもなく早朝の汽車で発った。

 

 

 

青春群像 I Vitelloni 1953 伊ペグ+仏シテ製作 伊エニック・仏RKO配給 – ニートをテーマにしたフェリーニ監督の自伝的作品

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