ドイツ大手 Beyerdynamic が製造・発売しているT5p 2nd Generation のOEM製品。
36Ω、102dBで密閉式ポータブルにも使えるヘッドホン。外見ですぐわかる改良点は、イヤーパッドが交換されて密閉性が向上していること。ケーブルは付属の銀メッキ銅2.5mmに変換アダプタ(ケーブルは銀)を付けてXLR4pinで Sennheiser HDVA600 に繋いだ。

満足度 4
デザイン 4
高域 5
中域 4
低域 4
音漏れ 3

密閉式だが、音場はそれほど狭く感じない。実際は奥行きの限界を感じるが、普通の密閉式と違って壁をそんなに感じない。半開放的といった方が良いかもしれない。ここが決め手だった。ただし外部への音漏れはある。

中古だったけれど、あまり聞かれていない様子だったので、一晩専用音源でバーンインを行い、四日ほどエイジングする。

結論を述べると、録音との相性がある。低音部が問題点で、合う録音には無敵だが、合わない録音だと膨らんでしまい締まりが全くない。ハイレゾでもそうなのだ。マーカス・ミラーのベースは凄く合う。しかし古い時代の録音のベース、さほど良くない重低音を苦手とする。密閉式だからと言って、いつでも締まった低音が聞こえるわけではない。
人の意見と全く違うかも知れない。それはよく聞こえる音源を試聴しているだけだ。

アイドル歌謡曲:桜田淳子(ハイレゾ)
ボリュームは8時で十分大きい。ボーカルはしっかり前に出て、バックとのバランスもしっかり取れていて、ベスト24曲をあっという間に聞き入ってしまった。

古い歌謡曲:西田佐知子(ステレオ、ハイレゾ)
演奏のタッチは古臭いが、ボーカルを前に出す演奏は粗が目立ちにくい。当時のスタジオミュージシャンの実力も凄いものがある。

J-POP: Fakie(CD)
2000年代から活動する女声ボーカルとナイロン弦ギターのデュオ。力強いボーカルに無響室のようなスタジオで収録されたらしいナイロンギターの切れ味の良さがマッチしている。密閉式のヘッドホンやスピーカーの適性を見るのにも向いている。

ポップス:Melissa Manchester 「あなたしか見えない」
時代が違うせいか、ベースは甘くなくてスッキリしている。
ボーカルだけリバーブをかけているような妙な曲だが、うまくバックがボーカルを盛り上げている。

ロック:Led Zepperin “Led Zepperin”
一作目のデラックス版をハイレゾで聞いた。ドラムのシンバルは良いのだが、ややベースとバスドラが甘く、そして浮いているように聞こえる。録音が古いせいか?マスタリングの失敗か、この二人との相性か?

フュージョン:Lee Ritenaur “A Twist of Rit” 1. Wild Rice
録音は非常に良い作品。リトナーの楽器の選択には疑問が残るが、全体がよくまとまった演奏だ。ベースも少し柔らかいところはあるが、許容範囲だ。

ジャズ:Sonny Rollins “Saxophone Collossus”
もちろん一曲目。ベースはダグ・ワトキンスだが、ドラムのマックス・ローチが目立ちすぎて、ベースが控えめなため、かえってよく聞こえる。

ジャズ・ピアノ:Keith Jarrett “Standards I”
ジャック・デジョネットのドラムが控えめであっても、ゲイリー・ピーコックのベースは緩くない。キースのピアノと完璧なバランスで鳴っている。

古楽:Bach Sonata for Viola de Gamba
余韻が強め。部屋の狭さを感じた。

クラシック・ピアノ:エコーが強めに聞こえる場合があった。DENON AT-D9200と比較すると、音場に限界を感ずる。低音が少しゆるい。ウォームな音を求めるならこちらが良い。

クラシック・パーカッション:録音方法によるが、低音の場合、一般に音量が大きい割に緩い。

コーラス:ボリュームを上げると、音場は狭くなる。ボリュームを絞って遠目に聞くのがホールの広さを感ずるコツ。

交響楽:フェドセーエフのチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
大人しくゆっくりした演奏だが、音場は普通だ。高さは大したことがなくて、目線上に楽器が並んでいるようだ。低音がうまく広がり、音場を構成している。第三楽章の盛り上がりは破綻なくこなす。

オペラ:ズービン・メータの「トゥーランドット」
ポップスの気分のまま大音量で聴くと、テナーのパヴァロッティとソプラノのジョーン・サザランドの声が割れる。もちろん、プリアンプ+ヘッドホンアンプなのでポータブル・ヘッドホンにはオーバーアンプなのは当然。
割れない程度に音量を絞って聴くと、ちょうどステージとの距離感が得られて劇場一階の前から20列目あたり、少しだけ遠い感じで聴いている感じがする。
楽器はk812のように左右の耳にへばりつく感じは無く、きちんと定位してくれる。
高音のパーカスは硬いが音が散乱していく感じがなく、余韻は薄い。低音はやや強調されて響く。と言っても重低音イヤホンのような下品さはない。
しかし大規模な曲になるとボリュームの自由度は制限される。開放式の方がクラシックは有利な所以である。密閉式で聞くとクラシックはどうしてもスケールが小さくなる。

ヘッドホン Astell & Kern AK T5p 2nd Generation

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