(△)死刑執行当日に、無実の死刑囚を救うために奔走する老新記者の姿を描くサスペンス映画。
監督・製作・主演はクリント・イーストウッド。共同脚本はラリー・グロス、ポール・ブリックマン、スティーヴン・シフ。原作はアンドリュー・クラヴァンの同名小説。
共演はイザイア・ワシントン、ジェームズ・ウッズ、デニス・リアリー、ダイアン・ヴェノーラほか。
イ-ストウッドの娘フランシスカ・フィッシャー=イーストウッド、彼女の母で元恋人のフランシス・フィッシャー、当時の妻のダイナ・イーストウッドなどが特別出演。
雑感
ウィリアム・アイリッシュの書いたサスペンス小説「幻の女」とよく似たタイプの映画である。1944年ユニバーサル製作の「幻の女」がイマイチだったが、こちらの脚本はしっかりしていた。編集に難があったと思う。
クリント・イーストウッドが老体にむち打って無理をしてる感がある。実際にはこの後も離婚と結婚を繰り返すほど、恐らく精力絶倫なのだが、その皺の数は隠せない。だから、最初のラブ・シーンなんて見せられたら白けてしまう(実際、浮気相手は亭主に見せつけるのが目的でスティーブは利用されているだけだった)。
だから、この映画が面白くないのかというとそうではない。初めの一時間ほどは寝ていても良い。それから見始めると、事件が動き出し、スピーディー、スリリングでかつてのクリント・イーストウッドがほどよく老いた姿が楽しめる。そしてスッとするエンディングとなるのだ。
編集が失敗してるだけで、素材としては悪くない映画だ。上手くカットすれば面白くなる。
キャスト
クリント・イーストウッド スティーブ・エヴェレット
イサイア・ワシントン 死刑囚フランク・ビーチャム
リサ・ゲイ・ハミルトン その妻リサ・ビーチャム
ジェームズ・ウッズ 編集長アラン・マン
デニス・リアリー (デスク)ボブ・フィンドリー
ダイアン・ヴェノーラ スティーブの妻
メアリー・マコーマック 同僚ミッシェル
フランシス・フィッシャー 地方検事セシリア
バーナード・ヒル 刑務所長ウォーデン・ルーサー・プランキット
マイケル・ジェッター 会計士デイル・ポーターハウス
ハッティー・ウィンストン 目撃者の祖母ラッセル夫人
フランシスカ・フィッシャー・イーストウッド スティーブの娘ケイト
ルーシー・リュー クリスマスの店員(カメオ出演)
スタッフ
監督、製作 クリント・イーストウッド
製作 リチャード・D・ザナック、リリー・フィニー・ザナック
製作総指揮 トム・ルーカー
脚本 ラリー・グロス、ポール・ブリックマン、スティーヴン・シフ
原作 アンドリュー・クラバン
撮影 ジャック・エヌ・グリーン
音楽 レニー・ニーハウス
あらすじ
カリフォルニア州オークランド。
オークランド・トリビューン新聞のかつての敏腕記者スティーヴ・エヴェレットは、酒に溺れてスランプ続きだ。女グセが悪くて上司ボブの妻にも手を出す。
大学出たての同僚記者ミシェルが交通事故死して編集長アランは、彼女が担当していた黒人死刑囚フランクへのインタビューをスティーブに任せる。フランクは、サン・クエンティン刑務所で真夜中に死刑執行が決まっていた。
フランクの事件を調査し直したエヴェレットは、会計士の証言に思い違いがあるのを発見した。仕事の合間に幼い娘ケイティを動物園へ連れて行くが、仕事のことで上の空だったため、怪我をさせてしまった。妻バーバラは、スティーブがボブの妻と浮気しているという密告があり、ついに離婚を決意する。
午後4時、エヴェレットは刑務所でフランクと面会して、その敬虔さを知り無実を確信する。それを見ていた刑務所長ブランキットも一抹の不安を感じる・・・。
スティーブは、地方検事セシリアから現場に黒人少年がいたことを聞き、彼が犯人と直観する。ミシェルのファイルには、少年の住所が書き留めてあった。しかし、少年の祖母ラッセル夫人に会うと、彼は三年前に仲間同士の抗争で殺されていて、この世にはいなかった。
全てが終わったとスティーブはやけ酒を飲んでいた。しかし、被害者の生前写真に写っていたネックレスが、ラッセル夫人の胸で輝いていたことを思い出す。
ラッセル夫人はこのネックレスを孫からもらったとき、盗品だと気付いていた。エヴェレットは、死刑執行中止命令を出してもらうため、知事の元へ車で急ぐ。途中でパトカー数台に追われるが、カーチェイスの結果なんとか振り切って知事に陳情する。
死刑執行直前に死刑は中止され、既に薬物は投与されていたフランクだったが、蘇生し無罪放免となった。
エヴェレットは離婚するが、この事件を報道しピューリッツァー賞候補になった。