2004年01月18日(日)
No.112

監督 小津安二郎
脚本   池田忠雄 柳井隆雄 小津安二郎
撮影  厚田雄治

堀川周平   笠智衆
良平 佐野周二
少年時代  津田晴彦
黒川保太郎  佐分利信
平田真琴   坂本武
ふみ   水戸光子

笠智衆が小津映画で初めて主演した作品。
天下の佐野周二や佐分利信を向こうに回して堂々の演技だ。
ネタバレあり—

周平と良平の親子は父子家庭。
子どもの身の回りの世話は、みんな親父が見ていた。
周平は教師だ。
修学旅行で生徒が羽目を外して湖にボートで入っていき、遭難する。
その事件で周平は自信を失い教師を辞する。
一旦は田舎でのんびり親子仲良く暮らしていたが、良平の中学進学と共に周平はひとりで東京に出ることにした。
田舎暮らしでは息子の学費もままならない。
だから、東京で働いて息子に仕送りしてやろうと思った。良平は心細くて泣き出した。
やがて時は経ち、良平は高校、東北帝大とすすみ、とうとう秋田の中学教師の職を手に入れた。
父は中途で教師を辞しただけに、喜びもひとしおだった。
そんな息子が休暇で東京に遊びに来るという。
また昔の教え子たちが同窓会をやってくれる。
毎日周平は気持ちよく酒が飲める。
しかしある朝、出勤前に父は倒れる。

良平が子どもの頃、数学教師の周平に円錐の体積を質問される。
そのとき、「3.14かける半径の二乗かける高さ・・・・・・÷3」と答えに間が空いたところが、印象に残った。

父親と暮らしたい息子の思いが結局満たされず終わるのだが、今どき、こんな殊勝な息子がいるだろうか?
だからお父さんのためにも、しっかりお国のために働いてくれということだな。
水戸光子が同僚先生の娘役で佐野の嫁になる。

 

父ありき (小津安二郎)1942 松竹

投稿ナビゲーション


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です