黒い強拳、世界を制す!世界の強豪、日本に集結!その真っ只中に帰ってきた沖縄小林流七段・山下タダシの閃光必殺技が冴え渡る!
ブルース・リーに古武道を指導し、全米に空手ブームを巻き起こした男・山下タダシが、日本凱旋主演第1回作品として、空手の真髄を披露した痛快アクション映画。(と言うのが東映の惹句)

監督は野田幸男。共演は堀越陽子

あらすじ

タダシは子供の頃渡米して、武道家の父は空手・沖縄拳法をタダシに叩きこむが、早くに亡くなってしまう。タダシを育ててくれた義母キティのためにも久しぶりに来日し、一稼ぎしようと決心する。
神戸港に降り立ったタダシのラーメン屋の三平から「世界武道大会」の主催者である京都正武館のことを聞いた。タダシは大会参加のため、早速正武館に直談判に乗り込んだ。代表選手が既に決定していたために、鈴木館長に断わられるが、タダシは沖縄拳法代表と戦ってあっさり勝つ。
それを知った理事の一人・東海林がタダシを代表選手に推薦した。東海林は熊谷と大会優勝者に金を賭けていた。
熊谷がスポンサーである、マレー拳法のブラック・タイガーとタダシが決勝まで勝ち進む。ブラック・タイガーはきちんと戦いたがったが、熊谷は念を入れて決勝前にタダシを襲う。しかしタダシは刺客を撃退する。
その事件を聞いた鈴木館長は激怒し、決勝戦を前に大会を急遽中止した。中止を怒った熊谷と東海林は鈴木館長に八つ当たりをして、手下どもに襲わせた。タダシは館長を守るため戦うが、卑怯にも薬物で目を潰される。
タダシは絶対安静で入院していたが、純粋に武闘家世界一を決めたかったブラック・タイガーはタダシに果たし状を送りつける。目が見えないままだったが、誰にも言わずタダシは決闘の場へ急ぐ。音だけの世界でタダシは、タイガーと壮絶な死闘をくり広げる。最後はタダシがタイガーに必殺技を叩き込む。

雑感

日本語が苦手な山下タダシ(沖縄->米国籍)はブルース・リーに古武道を教えたとか「燃えよドラゴン」に脇役で出演していた。しかしそれがどの程度のものなのかよくわからない。東映が「ザ・カラテ」をシリーズ化したぐらいだから、沖縄古武道の銃弾だし凄い人なのだろうが、古武道や沖縄空手のアクションは見て楽しいものではない。
俳優としてはやはり香港帰りの魅せるカンフー俳優倉田保昭の方が格好よく見える。

堀越陽子はかわい子ちゃん女優だと思っていたが、人並み程度のアクションはこなしていた。

館長役の鈴木正文は意外と身軽で驚いた観客もいた。台詞は多かったが、プロの俳優ではない。千葉真一の「殺人拳」シリーズからたびたび東映空手映画に出演している。正体は弁護士であり、京都正武館館長で剛柔流空手十段、防具付き空手の硬式空手連盟を主宰していた。極真ではありません。実は政界のフィクサー笹川良造(日本船舶振興会専務理事)の秘書であり、政治の裏にも通ずる人物だった。

後は山城新伍が得意のコメディリリーフのポジションにいて、潤滑油になって芝居を持たせていた。
主演の演技が全くダメだから、こういう役目の人が大切な働きをしてくれる。

スタッフ

企画 佐藤雅夫 、 今川行雄
脚本 高田宏治 、 志村正浩
監督 野田幸男
撮影 増田敏雄
音楽 渡辺岳夫

キャスト

山下タダシ 本人
鈴木忍 堀越陽子
三平 山城新伍
鈴木正文 鈴木正文
キティ姿さん   C・モロズ
ブラック・タイガー   鐘銘裕
シャルル・マルタン   アレックス・ブルボース
ジョー・ゴンザレス   スティーブ・フィシャー
ゲイリー・サムソン   アルバート・丁
ウィリー・張    デール・ファーガソン
相良 片桐竜次
赤間 福本清三

ザ・カラテ 1974 東映京都製作 東映配給

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